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大般若シリーズ【10】 大般若では何を願っているの?? ~回向編~

「夢は語ると 夢は叶う」


という言葉を聞いたことがあります。


なぜ、夢を語ると夢が叶うのかと言いますと、


夢を語る

多くの人に語ることで、自分の意志が固まり具体的な目標になる。

目標に向けて具体的な課題設定がしやすくなる。

課題に取り組み、少しずつ課題を克服することで目標が達成され、夢が叶う。

といった流れだと聞いたことがあります。





東光寺(静岡市清水区横砂)では、毎月1月7日に大般若祈祷会が行われます。お寺関係者の間では大般若【だいはんにゃ】と呼ばれている行事です。
 この法要は1300年以上続くもので、六百巻にもなる「大般若経【だいはんにゃきょう】」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式です。


※過去の開催報告では写真も使って方法全体の流れを説明していますので、興味のある方はご覧ください。


500大般若祈祷会回向



「全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る」と言うけれど、具体的にはどんなことを願っているの?



と聞かれたとき、私は「回向【えこう】」を紹介します。




回向とは、読経など様々な功徳(善い行い)が自分の為だけではなく、全ての人達の為になりますように祈ることで、大般若祈祷会では「祈祷回向」を唱えます。




この中に




天下安全、干戈起こらざらんことを
【てんかあんぜん、かんか おこらざらんことを】

山門の鎮静
【さんもんの ちんじょう】

中外咸安らかに
【ちゅうがいみなやすらかに】

火盗は潜に消え
【かとうは ひそやかに きえ】

諸荘の田園、意の如く豊かに稔り
【しょそうのでんえん、いのごとく ゆたかに みのり】

檀信は帰崇し
【だんしんは きすうし】

諸縁は吉利となり
【しょえんは きちりとなり】

一切の願望 皆悉円成し
【いっさいのがんぼう、すべてえんじょうし】





とあるのです。




つまり、



天下安全、戦争も起こらず、寺は静かに、皆心安らかに過ごし、火事や強盗なども無くなり、田園は豊かに稔り檀信徒は仏教の教えを学び、様々な縁に恵まれ、全ての願いが叶うことを願っているのです。




「もしも、こんなことが可能なら世界は平和になるかもしれない。でも実際にはこんなこと無理だ!」



と感じるかもしれません。



「夢物語だ!」



と言う方もいらっしゃるかもしれません。




しかし、願うことで



「今、自分達はどのような世界を目指すのか」ということがハッキリとするのではないでしょうか。



願いがハッキリとすれば、その願いを叶えるために知らず知らずのうちに自分たちの生活が変わってくることこそが、天下安全の第1歩となるのだと信じています。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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