写経会のときに どんな話しをしているの? その49 追加編
柳は緑花は紅【やなぎはみどり はなはくれない】
を紹介した絵葉書に

枯れ木に
花咲くを
驚くより
生木に
花咲くを驚け
という言葉を書きました。

※絵葉書についての記事はこちらをご覧ください。
日本昔ばなしの中に「花咲か爺さん」という話があります。
短く要約すると・・・
枯れ木に爺さんが花を咲かせる
というお話です・・・
もう少し詳しく内容を思い出してみると、登場人物は優しいおじいさんと意地悪じいさん、そして犬です。
まずは、心の優しいおじいさんが犬を助けます。
その犬に優しいおじいさんは「ここ掘れワンワン」と言われたので穴を掘りました。
言われたところを掘ると宝が出てきて優しいおじさんが喜びます。
喜んでいると意地悪じいさんが犬を無理やり連れて行って「ワンワン」と泣かせる。
掘ってみるとゴミが出てくる。
意地悪じいさん怒って犬を殺してしまう。
優しいおじいさんは大変嘆き悲しみ、犬の為の墓を作り、そこに木の苗木を植えた。
驚いたことに一晩経つとその気が大きく育ちました。
これを見た意地悪じいさん、「目障りだ」とその木を切ってしまう。
心の優しいおじいさんはその木を大切にするために、臼を作ります。
その臼で犬にお供えするお餅をついてみるとザックザックとお宝が出てくる。
それを見た意地悪じいさんはその臼を取り上げて自分も餅をついてみるがやはりゴミが出てくる・・・
意地悪じいさん怒って、それを臼を粉々にしいて燃やしてしまう。
心の優しいおじいさんは、「せめてその灰をも大切にしたい」と灰を持ち帰る。
そのとき、風が吹いて灰が枯れ木に当たると、そこに花が咲いたのです。
これを見て優しいおじいさんは、灰を撒いて枯れ木に花を咲かせる。
それを見たお殿様は大変喜び褒美を贈った。
意地悪じいさんは真似をして灰を撒くが花は咲かない。
という話です。
優しいおじいさんは自分の都合を考えず、素直に与えられた環境で精一杯努力することにより、犬との別れという苦しみは味わいますが、多くの宝を得られます。
しかし、意地悪じいさんは自分に都合の良い結果ばかりを求めるあまり、宝を手に入れることはできないのです・・・
優しいおじいさんの行動こそが、
見たまま、そのまま、いずれも真理の現れである。悟りは日常生活そのものの中にあることを示した柳は緑花は紅【やなぎはみどり はなはくれない】
そのものだと感じます。
さらに昔話の中で、枯れ木に花が咲いたのも
枯れ木に花が咲くという特別な出来事を大切にするのではなく、「灰」という特別なものが無くても生木が毎年自然と花を咲かせる日常のすばらしさに気がつかなくてはいけないことを示しているように感じます。
枯れ木に
花咲くを
驚くより
生木に
花咲くを驚け
自分がいる環境がどんな素晴らしいものなのか、なかなか気づくことはできません。
しかし、自分自身の心を調えることで、いま自分が立っている場所がこそが素晴らしい場所だと気がつくことができると仏教では説いています。
写経をする時に一文字一文字集中して書くことによって、私たちの心は自然と調っていきます。
残念ながら普段通りの生活をすれば、また心乱れることもありますが、意識して心を調えて日常生活を送ることで、自然と生きている木に花が咲くように私達の心のも花が咲くのではないでしょうか。
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