子供に坐禅会で話したこと 第284番 長者の不幸2 【仏教説話26】
子供坐禅会(平成29年冬休み:テーマは仏教説話)で話した内容を紹介させていただきます。今回は
仏教説話シリーズ その26 【長者の不幸2】
です。

東光寺(静岡市清水区横砂)の子供坐禅会では毎回お寺や仏教に関係する話しをしています。
そして、話の内容にあった「仏教豆知識シール」を参加者に配布しています。
自分自身の備忘録も兼ねて紹介させていただきたいと考えています・・・・
※以下の内容は子供向けに話したものです。
みなさんは友達と喧嘩をした時どうしますか。
友達が殴りかかってきたら、ついつい殴り返したくなりませんか。
今まで友達だと思っていた人から嫌なことを言われたら、ついつい言い返してしまいませんか。
本当に腹が立った時どうしたらいいのか、実はお釈迦様のお話の中に答えが書いてあるのです。
その答えこそ、「長者の不幸1」というお話の続きです。
※「長者の不幸1」はこちらをご覧ください。
「長者の不幸1」はお金持ちの男(長者)が娘を殺されてしまう話です。
娘を殺されてしまったお金持ちの男性は多いに悩みました。
お金持ちの男性は娘を殺されたという大変な不幸に遭い、そして娘を殺した太郎くんに対して大変な怒りの気持ちを持っていました。
しかし、太郎くんはもうすでにこの世にはいません。自殺をして死んでしまったからです。
娘を殺した太郎くんに対する怒りや恨みという気持ちを持ったままクヨクヨしながら生活をしていた男性に周りの人が
「そんなに悩むならお釈迦様の所に行って話を聞いてきてごらん」
とアドバイスをしてくれました。
そこでお金持ちの男性はお釈迦様の所へ行き、自分の娘が殺されてしまったことなどをお話しました。
そして太郎が既に亡くなっていて自分の怒りや恨みをどこにぶつけたらいいのかわからない、自分の怒りや恨みによって自分の心が乱されているということを相談したのです。
するとお釈迦様は静かにこの男性に話を始めました。その話の内容というのが、
「怒りによって怒りを鎮めることはできません。恨みによって恨みを鎮めることもできません。しっかりと自分の心を見つめることができたなら、怒りの炎や恨みの炎は自然と消えていくんですよ。」
と話してくださいました。
男性は怒りの気持ちを太郎君にぶつけなければこの怒りの炎を消すことができないと思っていたので、許すということをお釈迦様に教えてもらい少し気持ちが楽になったそうです。その後、このお金持ちの男性は修行を続けやがて怒りを怒りの炎を消すことができたそうです。
しかし、こういう話を聞くと「何を言っているんだ、殴られたらついつい殴り返しちゃうだろ。」
「嫌なことを言われたら、やり返さなきゃしょうがない。」
そんなふうに思うかもしれません。しかし、自分が殴られたからといって相手を殴ってしまったらどうなるでしょう。
向こうはもっと強い力で殴り返してやると言って襲ってくるかもしれません。
そうなれば、こちらももっと強い力でやり返さなければいけない。最初は向こうが10の力で殴ってきて、こちらが20の地下で殴り返したとします。
そうすると、相手はどんどん、どんどん強い力で殴り合うしかなくなってくるのです。
これでみんなが幸せになるということはありません。
たとえ殴られてつらかったとしても、そこでぐっと我慢をして自分の心を綺麗にし自分の心を整えることが大切なんですよ、とこのお話は教えてくれています。
ただ、なかなか実践する、本当にそのことをするのは難しいことです。しかし、坐禅をしてくれているみんなは、怒りの炎を消す方法を既に知っているのです。
坐禅は姿勢を良くして、ゆっくり呼吸をする。たくさん息を吐いてゆっくりと息を吸う。 人によってみんなの心はきっと綺麗になっていきます。相手に嫌なことを言われた時、ふと坐禅のことを思い出し姿勢を良くしていき、ゆっくり踏むと怒りの炎が少しは小さくなることを感じます。
すると、少しずつ少しずつ怒りの炎を消すこと、または怒りの炎を消す力を毎日毎日一生懸命坐禅をすることによって大きくしていくことが、みんながこれからも幸せに生きていく方法だと「長者の不幸」という話は教えてくれています
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