除夜の鐘の心は

東光寺(静岡市清水区横砂)では毎年12月31日の大晦日、午後11時30分から除夜の鐘を撞きます。
除夜の鐘は、どなたでも撞いていただくことができることが認知され始めたため、近年は多くの方がお参りに来て下さるようになりました。

そんな、お参りに来た方に質問をされた言葉で印象に残っているのはあります。それは、
「除夜の鐘を撞くときにはどんな心で撞いたらいいんですか。」
という言葉です。
過ぎ去った一年を反省し来るべき年の幸せを願いながら、元旦にかけて百八つ打ち鳴らされます。この音に新しい年を迎えたという感無量の気持ちを味わいます。
という文章が、臨済宗妙心寺派の花園 Q & A には書いてあります。
では、「来るべき年の幸せを願う」、「一年を反省する」、そういった心構えがどのようにお経に示されているのかと考えますとなかなか難しい質問だったように思います。
私もどのような心で鐘を撞いたらいいのかという質問に対しての答えがなかなか見つからないと思っていました。
そこで、いろいろ考えましたが、やはり普段のお経などの最後に唱える「四弘誓願文【しぐせいがんもん】」というお経の言葉を心に除夜の鐘をつくのが一番良いのではないかと考えるようになりました。
四弘誓願文は
衆生無辺誓願度【しゅじょうむへんせいがんど】
煩悩無尽誓願断【ぼんのうむじんせいがんだん】
法門無量誓願学【ほうもんむりょうせいがんがく】
仏道無上誓願成【ぶつどうむじょうせいがんじょう】
という四つの句からなる誓いの言葉であり、
救われるべき人々は限りがないが、必ず救うことを誓う
断たなくてはいけない煩悩は尽きることがないが、必ず断ってみせると誓う
学ぶべき教えは計り知ることができないほど多いが、必ず全てを学んで見せると違う
仏道(仏教の道)はこの上なく高いものであるが、必ず完成させてみせると誓う
この四つの誓いが四弘誓願文です。
除夜の鐘をつくとき、これまでの反省をして今後の幸せを願うのならば、やはり
「すべての者を救い、自らの煩悩を断ち、そして学ぶべきものを学んで、自分自身の人格を完成させていく」
短い誓いの言葉ですが、大切な教えが詰まっていますし、今を生きている私達がより良く、より幸せに生きていくための具体的な言葉にも感じます。ですから、この大切な言葉を心の中で唱えながら除夜の鐘をつくのが良いのではないかと考えるようになりました。
そのため、東光寺で除夜の鐘をついたときに受け取ることができる御札には今年から四弘誓願文を入れ、その御札を持って頂きながら除夜の鐘をついていただこうと考えて今準備をしています。
※除夜の鐘について詳しくはこちらをクリックしてください
多くの方と一緒に四弘誓願文の心で除夜の鐘を撞けることを楽しみ現在準備を進めております。
寒い日々が続きますが、いよいよ迫った年末に向け皆様も体調を整え良い新年を迎えられるよう準備をしていただければと思っております。