坊主の評判

「おい、坊主」
と声をかけられたときと、
「おい、和尚」
と、声をかけられたときでは、間違いなく「坊主」と言われたときのほうが、厳しい言葉を言われることが多くあります。
中村元先生の「仏教語源散策」はさまざまな仏教語の語源が紹介されています。
その中の一つに「坊主」という言葉の語源について書かれた部分がありました。
読んでみると非常に興味深い事柄がたくさん書いてありました。
坊主という言葉は僧侶に対する呼び名として用いられる言葉であります。
しかし、あまり良い言葉として使われないことが少なくありません。
例えば
・坊主丸儲け
・坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
・生臭坊主
・三日坊主
などたくさんの馬鹿にするような言葉が出てきます。
では、語源も馬鹿にされるようなものなのでしょうか。
実は違っていたのです。
決して僧侶を馬鹿にするという語源はないのです。
漢字の「坊」は「防ぐ」からきているようです。
意味は水を防ぐ堤防のことであり、それが転じて町の区画を示す言葉として使われるようになりました。
日本でも中国にならって区画の事を「坊」と言うようになりました。
また、中国では僧侶の部屋を「房」と言っており、「房」に住む主人のことを「房主」と書いたそうです。
この「房主」の「房(部屋)」と「坊(区画)」が混用され、「坊主」となったとのことでした。
ですので、元々の意味から考えると「坊主」とは決して僧侶を馬鹿にするための言葉ではなかったのです。
ではなぜ「坊主」という言葉が僧侶を馬鹿にするような言葉になったのかということを、仏教語源散策の中では本来の意味の説明よりも長く説明しています。

そして結論として、僧侶そのものが自分たちの手で一般の方から信頼されなくなる行為を繰り返した結果、坊主という言葉が一般の人から僧侶を馬鹿にする言葉として使われるようになったとまとめてありました。
長い年月を使い一部の僧侶の不徳な行いのため一般の方から馬鹿にされる言葉になってしまったという事実を知った時、自分自身が僧侶(坊主)として恥ずかしくない行動を常にとっていかなくてはいけないと感じました。