サンタクロースと布施の心

うまい棒(駄菓子)がこの話しの中心になります。
布施の心を結婚式の2次会で見ることができました。
知人の結婚式の2次会に出席したときの話しです。
その2次会は、様々な企画が用意されているような、飲んで騒いで楽しむ2次会ではありません。
街中の、少しおしゃれなお店で食事をしながらお酒を飲みながら、披露宴を終えた新郎新婦を囲む2次会でした。
参加者は15名ほどで、個室ではなく一般のお客様もすぐ近くで食事をしたり、楽しくお酒を飲んでいました。
その2次会でビンゴゲームをすることになりました。
ビンゴになったら
「ビンゴ―!!!!」
と周囲の迷惑になるように叫ぶこともなく、静かに楽しくビンゴをしていました。
このビンゴゲームの様々な景品の中に
「サンタセット」
がありました。
サンタクロースの衣装と、大きな袋に入ったプレゼントです。
衣装を着て、袋を担げばすぐにサンタクロースになれるのです。
大きな袋には、驚くべき量の駄菓子が入っています。
その数・・・
なんと・・・
うまい棒 500本
1本では小さな「うまい棒」ですが500本になるとすごく量が増えます。

90ℓのビニール袋(一般的な大きなゴミ袋の2倍)2杯分です。
サンタなれるのは楽しいかもしれませんが、持って帰るのも少し大変な量です。
ビンゴゲームは順調に進み、とうとうこの「サンタセット」を受け取る人が決定しました。
もしも私が当たっていたら、
「うれしいけど、この量は持って帰るのが大変だ!」
など悩んでしまって、なかなか行動を起こすことができなかったと思います。
しかし、受け取った方に迷いはありませんでした。
その方は
1 商品を受け取る
2 サンタの衣装を着る
3 お菓子がたくさん入った袋を担ぐ
4 お店の人に許可をもらう
5 お店にいた他の席の人々の所に言って、少し話をしてお菓子を配布する
6 ほぼ全員にプレゼントを渡し終えて、席に戻る
ということをしたのです。人見知りの私にはなかなかすることができないことをサラッとやってのける、行動力に感動をしました。
そして、当然のサンタクロースの訪問と駄菓子のプレゼントにお店にいた人たちも初めは驚いていましたが、みなさん笑顔で受け取られていました。
やがて、新郎新婦は別の会場へ移動しなければならない時間になったとき、サンタクロースが立ち上がりお店の中に響き渡る声で
「お楽しみの所失礼します。さきほどお話をさせていただいた新郎新婦が退席をします。どうぞ、暖かい拍手をお願いします。」
と言ったのです。するとお店にいてプレゼントを受け取った方々が笑顔で
「おめでとうございます!」
など、様々な祝福の言葉と共に拍手で新郎新婦を送り出してくれたのです。
それまで何の御縁もない見ず知らずの人達が、あっという間に仲間となって新郎新婦を祝福する光景に驚くとともにとてもうれしい気持ちになりました。
当たり前のことですが、ビンゴゲームの景品は当たった人のものです。
しかし、「サンタセット」が当たった方は景品を自分のものにしなかったのです。
小さな子供もいる方ですので、なかなか見ることがない大量のうまい棒を持って帰れば子供も喜んだかもしれません。
しかし、この方は迷うことなく、周囲の人たちに景品を配ったのです。
さらに、景品を受け取った人達に、新郎新婦へのお祝いの言葉までお願いをしていたのです。
人は誰かにプレゼントをしたときに、「ありがとう」と言ってもらえれば喜びますし、言われなければ少し腹をたててしまうこともあります。
なぜ、腹をたてるのかと言えば「見返り」を知らず知らずのうちに求めてしまっているのです。
仏教には「布施【ふせ】」という大切な修行があります。
見返りを求めず、誰かの為に自分ができることを精一杯することが布施行です。
サンタクロースになった方の行動も立派な「布施行」だったように感じます。
その布施行があったからこそ、私達のグループとその他のグループの間にあった壁が崩れ、みんながひとつとなることができたのだと感じました。