閻魔大王の怒りと地獄の変化 【その3】 山の竹が教えてくれる地獄と極楽
閻魔大王の怒りと地獄の変化 【その1】の続きです。
※【その1】はこちらをご覧ください。
※【その2】はこちらをご覧ください。

子供が飯ごう炊飯に挑戦しています。

燃料は竹です。
東光寺(静岡市清水区横砂)
が管理する観音山には竹林があります。
残念ながら手入れが行き届かず、うっそうとした竹林になってしまっていました。
この竹林をどうにかしなくてはいけないという苦しみの中から

竹林の竹を使って数年間から12月31日に行う「竹ろうそく」が誕生したのです。
さらに、その際に出た「きれっぱし」が、飯ごう炊飯の燃料となっています。
12月になると街中から「クリスマス」の雰囲気を感じることが多くなります。
しかし、それよりも2週間ほど前に日本だけでなく、世界中の多くのお寺で成道会【じょうどうえ】の法要が行われます。
人々の苦しみの原因に気づき、お悟り開くことを成道といいます。
成道会とは12月8日にお釈迦様がお悟りを開かれた事をお祝いする日です。お釈迦様は、六年間行ってきた苦行を離れ、身体を癒し、菩提樹の木のもとで坐禅に入りました。そして一週間後の朝、明けの明星をご覧になりお悟りを開かれたのです。
実は「仏」と「お釈迦様」は完全に一致するものではありません。
「仏」とは「悟った者」のことを言うため「仏」はお釈迦様だけを示す言葉ではありません。お釈迦様よりも前、そして後にも悟りを開かれた方が多くいらっしゃいます。その全ての方が「仏」なのです。
お釈迦様は悟りを開かれて「仏」となり、「仏」となったお釈迦様が弟子たちに伝えたのが「仏」の教え、仏教です。
つまり、お釈迦様が成道されることがなければ仏教は誕生することもありませんでした。
そしてお釈迦様が出家を決意したきっかけも、若かりしお釈迦様が、城の東西南北の四つの門から外に出掛けようとしたときに、それぞれの門の外で老人、病人、死者、修行者に出会い、人生の苦しみを目のあたりにし、出家を決意したと言われています。
(四門出遊)
お釈迦様が苦しみを体感して出家をした後に修行をされた。
修行を続け悟りを開き仏となった。
そしてその教え広がり、多くの方が救われる。多くの方が救われるきっかきになったのが間違いなくお釈迦様の成道であり、このことに感謝する成道会は仏教徒にとって大切な法要なのです。
お釈迦様は出家の際にも「苦」を体験し、さらに修行中も6年間自分自身を苦しめる修行を続けられました。しかし、苦しみ続けるだけの修行ではなく、身体を調え、呼吸を調え、心を調えることに集中されたのです。
そして悟りを開かれたのです。
お釈迦様はこれまでに体験された様々な「苦」があったからこそ、そして心を調えることができたからこそ、悟りの世界にたどり着きました。しかし、仏教徒だからと言ってみんなが悟りを開けると言うことはありません。
様々な「苦」の体験が必要のなってくるはずです。
現実の世界の話しの中では
山の竹をどうにかしなくてはいけないという苦労が「竹ろうそく」と「飯ごうの燃料」など多くの成果となって表れているなど、私達は「苦」を受け入れることの大切さと、その成果を体験してきています。
今後も、成道会のお参りの際には「苦」を感じることの大切さを思い出していこうと思います。
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