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いますがごとく


500宇宙と空



私は飛行機が好きです。


小さい頃から空を飛んでみたいという憧れがありました。


大人になってからも飛行機に乗ればワクワクしてきます。


そのため亡くなった方の遺骨を空に飛ばして供養するというサービスがあると知った時、少し憧れたことも事実です。


自分が死んだとき自分の遺骨を大きな風船につけて空に飛ばす。なかなか面白い発想だなと感じました。





しかしそれと同時にある二つの言葉を思い出し、自分は残された人にそのような供養の仕方をしてもらっていいのか疑問に感じました。





二つの言葉の1つは、「いますがごとく」という言葉です。



これは昔から供養の心を表す言葉として使われていますのでご存知の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。



そこにお参りする人が実際にいるかのように感じながらお供え物をしてお参りをすること。



これが供養の心だという言葉です。






そしてもう一つの言葉というのは宇宙飛行士の向井千秋さんのお母様の言葉です。


向井さんが乗るロケットが発射される直前に叫んだ言葉です。



向井千秋さんは宇宙飛行士としてロケットに乗り込み、今まさに飛び立とうとカウントダウンが始まっていました。この時向井さんのお母さんはロケットの発射を見守っていましたが、カウントダウンが始まるとわが子が宇宙へ行くことが不安になり、ロケットを飛ばすのをやめて欲しいと叫んだと言われています。



もちろんロケットは安全に飛び出し向井さんは宇宙での仕事を終え無事に帰還されました。ロケットは多くの人たちの支えによって安全安心を追求した乗り物になっています。



ですから科学的には安心安全な乗り物だと思っていても、心のどこかで不安がある。大切な我が子が宇宙へ行こうという夢を叶えようとしているような親として喜びに溢れる瞬間であったとしても、心配するあまり発車を止めてほしいと願ってしまったのかもしれません。





亡くなられたご先祖様はとても大切な人達です。その大切な方のご供養をする時、「いますがごとく」お参りをすることが大切であることは言うまでもありません。



では大切な方が亡くなった時そのお骨を宇宙へ飛ばすということは本当にできるのか。


亡くなったかたが自分の骨をどうしてくれと言っていたとしても、残され供養する側の人間がそこに亡くなった方がいるかのようにお参りをすることが大切なはずです。


本人が望んでいたから宇宙に飛ばすのか。それとも、向井さんのお母さんのように、大切な我が子が望んで宇宙へ飛び出そうとしているにもかかわらず、ロケットの発射を止めたくなるというのが本当の心なのではないでしょうか。


そうなると自分自身が空が好きだからと言って、残された家族にお骨を飛ばしてほしいと願うことは少し難しいような気がしています。


私自身空は飛ぶことも好きですし、空を見上げることも好きなのですが、残された人達に多くの供養の機会が続いていくことを願うならば、自分の骨を空に飛ばしてくれとはなかなか言い難いものだなと感じる今日この頃です・・・
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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