それからのおにがしま

「それからのおにがしま」(作:川崎洋 絵:国松エリカ)
という絵本に出会いました。
大変、興味深い内容でしたし、初めて読んだときには感動をしました。
この絵本は、あの有名な昔話である「桃太郎」のその後を描いたお話です。
内容を詳しく書くと良くないと思うのですが、私は確かに仏教の教えを感じました。
大まかな流れは、
桃太郎にやっつけられてから 鬼ヶ島の鬼たちは すっかりおとなしくなる
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鬼たちが手当てを受ける
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やがて 島に村の子供達がやってくる。
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子供達は鬼の子供達と仲良くなる。キジや猿は鬼と仲良くなり、普段の生活を助ける。
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月日は流れ お婆さん、お爺さん、3匹のお供もみんな死んでしまう。
さらに月日は流れ、桃太郎はじいさんになる。
桃太郎が歩いていると子供達が昔の桃太郎の紙芝居を見ていた。
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桃太郎は紙芝居を楽しむのですが、 「おもしろう話じゃのう」と言って鬼を懲らしめたことを忘れている。
といったシーンで絵本は終わります。
初めてこの絵本を読んだときに、桃太郎自身が以前の鬼退治を忘れているシーンが印象的でした。
そして、さらに読むときに
鬼ヶ島が「私自身」
鬼が「自分の心の迷い」
桃太郎やその仲間たちが「仏教などの教え」
鬼ヶ島に来た子供が「自分の素直な心」
と考えると、絵本の内容を
自分自身の中にある「心の迷い」を「仏教の教え」によって弱める。
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心の迷いは弱る
↓
自分の素直な心に気がつく
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素直な心と迷いの心が同居する
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仏教の教えの詳しい内容は忘れてしまう
↓
しかし、大切な部分は自分自身の中に確かにある。
と読み取ることができるのです。自分の心が尊いものだと気がつく過程を見事に表現しているように感じたからこそ、絵本を初めて読んだときに感動をしたのだと思います。
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