清風が起こる
禅の言葉(禅語)に
歩歩起清風 【ほほ せいふう おこる】
という言葉があります。
1歩進むたびに清らかな風が吹くことを意味しています。しかし、一歩進むごとに風が吹いてくることだけではなく、どの風も全てが私達を包んでくれていることを実感することの大切さを説いてくれています。
つまり、全てが清浄な悟りの世界だということを表す言葉と言われています。
煩悩や迷妄がなくなった者が感じる清らかな心を示す言葉です。
東光寺(静岡市清水区横砂)で行われた子供坐禅会のときの出来事です。

この日は風が強く、私が座っている場所の近くの掛け軸が時々カタカタと音を出しながら揺れていました。
「うるさいな」と感じると同時に風を恨んだりもしていました・・・

坐禅中に周囲の音が気になるようではダメなのですが、やはり気になります・・・
つい掛け軸に目がいってしまったとき、驚きの光景を目の当たりにしました。
掛け軸が風を受けて大きく、本当に大きく動いていたのです。
ここで風が止んでしまったら、相当大きな音がして坐禅をしている子供達が驚いてしまうかもしれないと不安になりました。
しかし、次の瞬間再び驚きの光景を目の当たりにしたのです。
大きく揺れた掛け軸が、まるで誰かの手によって優しく戻されるよう、優しい風に包まれに静かに元の状態の戻ったのです。
カタカタと音を出している原因だと思い込んでいた「風」が掛け軸を優しく包み込み元の場所に掛け軸を戻したのです。
風に「良い風」「悪い風」、といった区別などないこと、同様に差別や区別の意識は私達自身が作ってしまっていることを清風が教えてくれた瞬間だったのだと思います。
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