手放すまでの時間
ある日、小学校低学年の孫を連れたお婆さんがお参りをしているところで見た光景が印象的でした。

※写真はイメージです
お婆さんが孫に100円玉を渡して
「はい、これお賽銭に入れて」
と言うと、孫は
「うん、いいよ!」
と言って、渡された100円玉を賽銭箱に入れてお参りをしました。
微笑ましい光景だと感じると同時に、
「同じことが自分にできるのだろうか?」
とも感じました。
小学校低学年の子供にとって100円は大金です。
私が誰かに大金をもらってすぐに賽銭箱に入れるように言われたら、素直にできるのでしょうか?
もしもお金に困っていたら
「せっかくなら、この大金をいただいてしまいたい」
と考えてしまうかもしれません。
が、しかし 大金を受け取ってすぐに賽銭箱に入れるのならば、なんとかできるかもしれません。
しかし、時間がたつとしたらどうでしょう?
大金をあずかり、1年後に賽銭箱に入れてくれと頼まれたら
「せっかくなら、この大金をいただいてしまいたい」
との思いが強くなってしまうのかもしれません。
時間が経過すればするほど
預かっていた大金が「自分のもの」と思い込んでしまうかもしれません。
そして「自分のもの」と勘違いをしてしまえば手放すことはどんどん難しくなっていきます。
禅の言葉に
放下著【ほうげじゃく】
という言葉があり、放下は捨てることを表し
煩悩妄想だけでなく仏や悟りまでも捨て去りすべての執着を捨て去る
という意味があります。
全てを捨て去さることの大切を今でも私達に伝えてくれる言葉です。
手に入れた(預かった)直後ならすぐに放下【ほうげ】できるのに、時間が経てば経つほど放下できなくなってくることを、素直に預かったお賽銭を賽銭箱に入れる子供に教えていただいた気がします。
- 関連記事
-
- 清風が起こる (2017/08/17)
- 型にはまる 型を破る (2017/08/15)
- 手放すまでの時間 (2017/08/14)
- 塔婆きれいですね (2017/08/11)
- お寺は学ぶ場所 (2017/08/02)