塔婆きれいですね

東光寺(静岡市清水区横砂)の位牌堂で印象的なことがありました。

ある日、塔婆【とうば】が並んでいるのを見て、位牌堂にお参りに来た小学生が
「なんだかお化け屋敷みたいで怖い」
と言いました。
しばらくして、お参りに来た別の女性は、並んでいる塔婆を見て
「塔婆きれいですね」
と言いました。
並んでいる数や形に変化はありません。
同じものを見ても、見る人の心で見え方が変わることを実感しました。
ちなみに塔婆は卒塔婆【そとば】とも言い、インドの言葉「スツーパ」の音に漢字を当てはめたものです。
古代インドでは盛り上げた墓または塚を「スツーパ」と言っていました。
日本では仏教が伝わった後、
1.五重塔をお釈迦様の供養塔として建てた
2.お釈迦様の遺骨を納める入れ物(舎利瓶)の形を一般の人がお墓の墓標として使うようになる。
3.五重塔を建てることができない人が、石板・木柱・木板に刻み目をつけた墓標や供養塔が作られるようになる。
4.先祖供養の度に五重塔だけでなく、石板・木柱など大きな供養塔を作ることは難しいので板の供養塔を使うことが一般的になる。
これが塔婆の始まりです。
お釈迦さまや亡くなったご先祖様を思って準備するのが塔婆ですので決して「怖いもの」ではなく、「美しい心が形になったもの」だと思います。
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