子供に坐禅会で話したこと 第258番 跋難陀龍王【ばつなんだりゅうおう】
子供坐禅会(平成29年春休み:テーマは涅槃図)で話した内容を紹介させていただきます。今回は
涅槃図シリーズ その16 【跋難陀龍王:ばつなんだりゅうおう】
です。

東光寺(静岡市清水区横砂)の子供坐禅会では毎回お寺や仏教に関係する話しをしています。
そして、話の内容にあった「仏教豆知識シール」を参加者に配布しています。
自分自身の備忘録も兼ねて紹介させていただきたいと考えています・・・・
※以下の内容は子供向けに話したものです。
お釈迦様が亡くなる時の様子を描いた図を「涅槃図」と言います。

突然ですが、問題です!!

バレンタインの次の日、2月15日は何の日ですか?

そう、涅槃会です。
2月15日にお釈迦様が亡くなったと言われていますので、その御恩に感謝する法要・お参りを行います。これを涅槃会【ねはんえ】と言います。

では、4月8日は何の日ですか?

ヒントは仏教に関係あります。

さらにヒント!「お花」があります!!

そうです、お釈迦様の誕生日をお祝いする「花まつり」です。
花まつりでやることと言えば何でしょうか?

ヒントはこちらの写真!
そうです、生まれたばかりのお釈迦様の像に甘茶をかけます。

花まつりと言えば

「甘茶」です。
では、なぜ甘茶をかけるのでしょうか。
それは、お釈迦様が誕生したときに「甘露の雨」が降ったといわれているからです。

甘露とは漢字からも「甘い」ものとわかります。実際には蜜のように甘く、飲むと不老不死になるという伝説の飲み物であり、お釈迦様誕生という素晴らしい出来事に対して天がお祝いをしたと考えられます。
そして、この甘露の雨を降らせたのが、なんと

跋難陀龍王【ばつなんだりゅうおう】なのです!!
お釈迦様が誕生したとき甘露の雨を降らせた跋難陀龍王はなんと涅槃図にも描かれています。

どこか分かりますか?

少し拡大してみます。
東光寺(静岡市清水区横砂)の涅槃図ではお釈迦様の足元の近くにいらっしゃいます。

この跋難陀龍王、
お釈迦様の教えを守る八大龍王の一つ。
雲を呼び雨を降らす龍王であり、お釈迦様誕生の時に甘露の雨を降らしてお祝いをしました。
その後も教えを聞き、お釈迦様が亡くなった後も永く仏法を守護した。
とも言われています。
私はお釈迦様の誕生を祝った跋難陀龍王が涅槃図に描かれていることに深い意味を感じます。
跋難陀龍王を描くことで、お釈迦様の教えである
全てはつながっている
という教えを示しているのではないでしょうか。
私たちはどうしても様々なことを分けて考えます。
この方法は非常に便利で、普段の生活では欠かすことができない大切な方法です。
良いことか悪いかことか
価値があるか、ないか
えらいか、えらくないか
一見便利のように感じますが、仏教では
すべてはつながっていて分けることなどできない
と説いています。
子供が生まれる「誕生」と亡くなること。
誕生はめでたいことであり、亡くなることは悲しいこと
分けて考えます。 もちろん間違いでは決してありません。
しかし、誕生から亡くなるまで 当たり前のことですが どこかで人間が入れ替わることはありません。
誕生した人が そのまま生きて、そして亡くなっていくのです。
ひとつの命を生きていきます。
分けることなどできません。
しかし、命を分けることはできないのに、人は様々なことを分けて考えよとするのです。
分けて考えれば、すべてのことがつながっていることを忘れてしまい、失敗をしてしまうかもしれません。

だからこそ、涅槃図に跋難陀龍王【ばつなんだりゅうおう】を描くことで
命はつながっていることを示し、
さらに、「分けて考えることなどできないんだ、すべては1つなのだ」、このことをこのことを忘れずに 命を大切に生きて行って欲しいとの願いが込められている気がします。
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