子供に坐禅会で話したこと 第255番 阿修羅
子供坐禅会(平成29年春休み:テーマは涅槃図)で話した内容を紹介させていただきます。今回は
涅槃図シリーズ その13 【阿修羅:あしゅら】
です。

東光寺(静岡市清水区横砂)の子供坐禅会では毎回お寺や仏教に関係する話しをしています。
そして、話の内容にあった「仏教豆知識シール」を参加者に配布しています。
自分自身の備忘録も兼ねて紹介させていただきたいと考えています・・・・
※以下の内容は子供向けに話したものです。
お釈迦様が亡くなる時の様子を描いた図を「涅槃図」と言います。
涅槃図のなかにはお釈迦様が亡くなった訃報を聞いて駆け付けた多くのものが描かれています。

この中に阿修羅【あしゅら】がいます。
・・・
・・・
・・・
絵が小さいため分かりにくくて申し訳ありませんが、

ここです!!
拡大し、シールの絵と合わせると

このようになります!!
阿修羅は
・インドの古代神話に出てくる神様。
・闘争的な性格
・争いの絶えない世界である修羅道(六道の一つ)にいる。
といった特徴があります。
神様同士で激しい戦争をしたとも言われています。
しかし、お釈迦様が亡くなられると聞いて駆けつけています。
阿修羅自身もお釈迦様の教えを聞き仏教に目覚めたものの一人なのです。
阿修羅が普段生活をしている修羅道とは六道という仏教の考える6つの世界の中の1つです。
6つの世界とは
地獄
苦しみの世界です。
餓鬼【がき】
あれも欲しい これも欲しいと 欲張り続ける世界
畜生【ちくしょう】
苦しみが多くて、楽しみがほとんどない。みんなが自分勝手に生きている世界
修羅【しゅら】
いつもケンカをしたり戦争をしている世界
人間界
いろんな悩みをかかえて生きている世界
天界【てんかい】
楽しそうな世界だけど、いつこの楽しい世界から追い出されるかビクビクして過ごす世界
という6つの世界です。
どうしても私たちは6つの世界と言われると、
今は人間界にいるから、死んで生まれ変わったら天界がいいな、餓鬼は辛そうだな
などと考えてしまいます。しかし、実際には私たちは6つの世界を今もうろうろとしているのです。
例えば、
朝起きて食卓へ行ったけど朝ごはんが気に入らなかったから「いらない」と家の人に言ってしまった。
これは自分勝手にいきる畜生の世界
いらないと言ったけど実際にはおなかがすいてきた。でも食べたくないと言ったから食べるものが何もない苦しい。
これは地獄の世界(地獄の入り口付近くらいかも・・・)
たから見つからないように隠れてお菓子をボリボリ食べた。
これは、餓鬼の世界
お菓子がおいしくて一瞬だけ幸せな気持ちになった
これは、天界
でも、突然家の人がきてお菓子を食べているのが見つかって怒られてケンカになった。
これは修羅の世界
このようにグルグル回っているのです。
お釈迦様はグルグル回るのをやめて、この6つの世界から抜けだしなさいと教えてくれていました。
そして、そのための方法の一つが坐禅です。
姿勢を良くして、ゆっくりと息をする。その時の心は6つの世界とは違う、とても落ち着いた心になっています。
・・・涅槃図の話に戻ります。
阿修羅は修羅の世界に住んでいます。
でもお釈迦様のもとに駆け付けることができています。
阿修羅は六道、6つの世界である修羅の世界から抜け出すことができているのです。
ここがとても大切です。
これは、仏教の教えが修羅の世界にも届くことを示しています。
つまり、私たちの心が修羅の世界に迷い込んだとしても、姿勢を正し、呼吸を調えれば、落ち着いた心になることができるのです。
頭に血が上ってしまいケンカをすることは珍しいことではありません。
しかし、そんなときでも心を落ち着かせる方法があることを涅槃図に描かれている阿修羅が教えてくれている気がします。
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