子供に坐禅会で話したこと 第247番 北枕
子供坐禅会(平成29年春休み:テーマは涅槃図)で話した内容を紹介させていただきます。今回は
涅槃図シリーズ その4 【北枕:きたまくら】
です。

東光寺(静岡市清水区横砂)の子供坐禅会では毎回お寺や仏教に関係する話しをしています。
そして、話の内容にあった「仏教豆知識シール」を参加者に配布しています。
自分自身の備忘録も兼ねて紹介させていただきたいと考えています・・・・
※以下の内容は子供向けに話したものです。
お釈迦様が亡くなる時の様子を描いた図を「涅槃図」と言います。
当然中心に描かれているのはお釈迦様です。
目を閉じて横になっているお釈迦様が描かれています。
涅槃図では分かりにくいのですが、このとき、お釈迦様は頭を北に向けています。
これを北枕【きたまくら】と言います。
今でも亡くなられた人がいる場合、頭を北に向ける北枕にすることは珍しいことではありません。
しかし、残念ながら現在では
お釈迦様という すごい人が北枕にした
↓
身近で亡くなった人もお釈迦様のように大切な人
↓
お釈迦様と同じ北枕にしよう!!
という流れがあるにも関わらず
亡くなった人が北枕
↓
縁起が悪い・なんだか気味が悪い
と肝心な部分を忘れてしまっている人もいます。
そんな人にはぜひお釈迦様が亡くなったときに、なぜ頭を北向きにされたのかを知って欲しいのです。
お釈迦様の大切な教えに
えらそうにしない
というものがあります。難しい言葉を使うと「謙虚【けんきょ】」ともいいます。
この「えらそうにしない」ことを実践されている姿が北枕なのです。
なぜ、お釈迦様が頭を北向きに向けて横になったか2つの説が有名です。
1つは
お釈迦様が亡くなった後も北に仏法が伝わることを願ったため
もう1つは
北の方角にあたる故郷の両親に足を向けなかったため
です。
皆さんは「合掌礼拝【がっしょうらいはい】」と言われれば手を合わせて頭を下げると思います。
皆さんの合掌礼拝をもっと丁寧にしたのが五体投地【ごたいとうち】と呼ばれる丁寧な礼拝です。
両膝・両肘・頭の5ヶ所を地面につけて相手の足を自分の頭の上に持ち上げる動作です。
大切だと思い込んでいる自分の頭の上に、相手の一番汚れる足の裏を持ち上げるという動作をすることによって「えらそうにしない」という大事な教えを思い出し、体で覚えていくのです。
お釈迦様が北の方角にあたる故郷の両親に足を向けなかったのも、謙虚になる姿なのです。
常に相手のことを思いやる習慣が、自分の足を相手に見せないように気を付ける行動へと自然とつながったのだと思います。
人は、ついつい「俺はすごい」、「私はよくがんばっている」、「自分は天才かもしれない」と考えてしまうものです。
私自身もついつい自分を褒めてあげたくなることがあります。もちろん褒めることは大切なことなのですが、
褒め方を間違えてはいけないのです・・・
間違えれば「えらそうにしている」人間になってしまいます。
「えらそうにしている」ことに自分で気が付くことは難しいことです。
しかし、静かに合掌礼拝をすることで、頭を下げることで気が付けることもたくさんあります。
そのような実践を最後までされた姿こそが涅槃図のお釈迦様の姿なのです。
今後、もしもどこかで涅槃図のお釈迦様の姿を見ることがありましたら、「えらそうにしない」ための方法を2500年以上前にお釈迦様から教えてくれたことを思い出し、ぜひ実践をして下さい!!!
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