ここで売っている魚は他県のものです!! 東日本大震災 7回忌 福島にて感じたこと その1

平成29年3月9日・10日に福島県のいわき市で開催された「平和・復興のいのり」でお参りをさせていただきました。この2日間のお参りで、多くのことを感じることができました。
※法要やお参りの様子を紹介した記事はこちらです。
いくつも印象的な出来事がありましたが、今回紹介させていただくのは地元の方が話してくれた
「ここの市場で売っている魚は他県のものだ!」
という言葉です。
2日間のお参りが終わった後に、水族館「アクアマリンふくしま」と昼食とお土産を買うことができる市場へと案内をしていただきました。
その際、地元の方が
「残念ながらこの市場で売っている魚は、ここで水揚げされたものではありません。原発の事故によって放射性物質が福島の海に流れ込んでしまったため、その影響がどの程度あるのか分からないため販売をすることができないのです。」
と教えてくれたのです。
恥ずかしながら不勉強で知りませんでした。
福島産のお米は全て放射線量を確認後出荷していることは知っていたのですが、まさか魚を売っていないとは知りませんでした。
その言葉は市場へ行く前に聞いたので、閑散とした市場を想像しながらバスを降りました。
しかし、そこにあった市場は活気があり多くの商品が売られていました。
確かによく見ると福島で「千葉産」「青森産」など他県の名前が目立ちます。さらに「ノルウェー」などの海外産地の魚も多くありました。
しかし、干物や加工食品の多くは地元福島の商品が並んでいました。
そこで、働く人々や買い物をする人々は実に楽しそうにしていました。
有名な禅の言葉に
光陰惜しむべし 【 こういん おしむ べし 】
時人を待たず 【とき ひとを またず】
があります。
時間が過ぎ去ってしまうことを惜しまなくてはならない。 一瞬たりとも時間を無駄にしてはならないことを意味する言葉です。
時間を無駄にしないということは、「今」を懸命に生きることの大切さを説いた言葉でもあります。
禅の修行をする場所や禅宗寺院に行きますと木板【もくはん】という木の板に
生死事大
無常迅速
光陰可惜
時不待人
と必ずと言っていいほど書いてありますので、見たことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
怠らず、時間を無駄なく修行を続けることを戒めるための言葉です。
私は市場で働く方々こそが、この「光陰惜しむべし・・」を実践されていると感じました。
魚を採っても売ることができない。私のような未熟者は「市場はそこで採れたものを売る」という思い込みがあるため、売れないから市場はやっていけないと考えてしまいます。
しかし、市場は地元の物しか売ることができない場所ではありません。
商品を作り出すのは「海」だけではありません。「人の手」が加えられることで商品となるものもたくさんあるのです。だからこそ、そのような状況下で「今何ができるのか」を考え実践した姿こそが、私が見た活気あふれる市場だったのだと思います。
いただいた昼食の魚は地元の魚ではなかったかもしれません。
しかし、多くの方々の「想い」がしっかりと込められ、多くの方々のお陰様で私がいただくことができたことに感謝し、おいしく完食しました。

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