お寺の力を実感するとき
東光寺(静岡市清水区横砂)には水子地蔵尊が祀られています。

毎日多くの方が手を合わせてお参りをしてくださいます。
毎日のお参りだけでなく、水子供養を申し込まれることも少なくありません。
東光寺では、お寺に僧侶が必ず常駐しているとは限りません。
そのため、法事などの法要は事前に時間を決めさせていただいています。
少し前のでき事ですが印象的なことがありました。
それは、平日の夕方の出来事です。
玄関のチャイムが鳴り、玄関へ行くと若い女性が立っていました。そして
「今から水子供養をしていただけませんか」
と、言うのです。もちろん予約などしていません。突然の申し出に驚きましたが、たまたまその日は他の法要の予定がなかったため
「準備等に時間がかかりますが、10分程度お待ちいただけるのであれば法要をさせていただきます。」
と、答えさせていただきました。
そして急いで準備をして、法要をさせていただきました。
しかし、法要を始めると同時に何回も驚かされました。
この女性にとって人生で始めての「お参り」だったようです。私が

「合掌をしてください」や「礼拝をしてください」」
と言っても伝わりません。日本が話せないわけではもちろんありません。
身振り手振りを加えてようやく伝わります。
御焼香にもかなり詳しい説明が必要でした・・・
法要中は驚きの連続でしたが、法要が終わり落着いて考えると、とっても不思議な光景だったように感じます。
「合掌や礼拝」などの言葉を初めて聞くような女性がお寺に「法要をお願いします」と飛び込んでくることがとても不思議な光景だと気が付いたのです。
これまでの生活でお寺やお参りなどと御縁がなかったように感じる方が、お寺に飛び込んできてくれる。
とても勇気のいることだと思います。
しかし、多くの方々の手によって伝え、守られてきた
・仏様と伽藍【がらん:お寺の建物】
・仏教の教え
がそこにはあり、さらにその周辺に
・教えを信仰する人々
がいてくれたからこそ、目には見えない安心感が存在し、この不可思議な力が彼女をお寺へと導いてくれたのだと感じることができました。
目には見えないけれど、そこには確実に「お寺の力」があったのだと感じたとき、そのような尊い場所で仏教の教えを学ばせていただいていることが、どれだけ有り難いことなのかを実感し感謝せずにはいられませんでした。