光りは何個ありますか? 【自灯明】

「和尚さん、この絵にはロウソクが5つあるね!」
保育園児が発した、とてもうれしい一言でした。
絵を見るとロウソクは4本です。
でも、「5つ」と言ってもらえるとうれしいのです!!
東光寺(静岡市清水区横砂)の境内にある袖師保育園の園児は毎月お寺に坐禅体験にやってきます。
坐禅を体験した後、お参りをして、話しを聞いて、お茶を飲んで教室に戻ります。
今月は自灯明【じとうみょう】の話しをしました。

これからお参りをしようとする園児にクイズを出しました。
「今からみんなは1人ずつお参りをします。お参りをしたら、ここに何個の光があるか数えて見てください!」
園児が見える範囲にはロウソクが2本だけ灯っています。ですから、園児は
「2本!」とか「2つ!!」と元気に答えます。
そこで、私は
「答えは3つです!」
と言います。当然、園児はキョトンとしています。そこで、
「お釈迦様は、自灯明といってみんなの心の中にきれいな光があると教えてくれました。
みんなは部屋が急に真っ暗になったら怖いよね。そんな時にロウソクの光があったら安心できるよね。
光があれば周りも見えるし安心するよね。真っ暗部屋の中にある光のように、私達の心にもきれいな光があるんだよ。その光を大切にしていきましょう!
とお釈迦様は2500年も前に教えてくれているのです。」
と言うと、園児たちは納得してくれたような顔をします。
自灯明は本来、
「自らを灯火とし、自らをよりどころとせよ、他を頼りとしてはならない。」
といった意味があります。
園児に話をした後に、伝えたかった本来の意味が園児に伝わっているのか心配になったときに聞こえてきたのが
「和尚さん、この絵にはロウソクが5つあるね!」
という言葉でした。
4本のろうそくだけでなく、横たわっているお釈迦様の心の灯火まで数えてくれたのです!
「5つある!」と言ってくれた園児の数え間違いでないと信じていますので、とってもうれしい言葉でした。