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込められた想いも全ていただく


お正月に「花びら餅」をいただきました。




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しかし、娘は「花びら餅」を食べてもあまり喜びませんでした。





その姿を見て幼い頃の自分の行動を思い出しました。





娘と同様に私も幼いころは「花びら餅」が苦手でした。




正確に表現をするならば、外の皮の部分(求肥)も中の餡も好きです。しかし、甘いお菓子の中に入っているゴボウに違和感を感じていました。





なぜ、甘いものの中にゴボウなのか??




花びら餅を食べるたびに感じていましたし、




「せっかくなら美味しく食べるための工夫!!」



と言い訳をしてゴボウだけ先に食べ、その後甘い餡と皮の部分を食べていました。




そして、そんな下品な食べ方をしながら、





「いっそうのこと、ゴボウなんて入れなければいいのに」





と本気で感じていたこともありました。





しかし、お菓子を出されたのに喜ばない娘の姿を見て、疑問も出てきました。





なぜゴボウが入っているのだろう??





調べてみると、和菓子屋さんのホームページに興味深い説が掲載されていました。





花びら餅は長寿を願うお菓子でもあるそうです。



昔から、長寿には「歯」が丈夫であることは密接に関係すると考えられています。そこで、



正月に固い物を食べることで「歯」が丈夫で長生きができることを願ったのです。



本来は干した魚なども食べていたそうですが、これらの想いを込めたお菓子として花びら餅が登場したそうです。



固い食べ物としてゴボウを使い、

ゴボウが食べられる = 固い物が食べられる

固い物が食べられる = 健康

健康 =長寿



となるのです。



そして、誰でもゴボウを食べられるように柔らかく煮ることで、これを食べた誰もが長寿になれることを願うお菓子が出来上がったのです。







幼い頃の私は、肝心なゴボウの存在を無視して美味しい部分だけを食べようとしていたのです・・・





ゴボウの存在を無視することは、花びら餅に込められた先人や作り手などの想いを無視することになってしまうのです。





これからは、込められた想いを感じながら花びら餅を食べようと心に誓うとともに、禅宗の食事の作法を





「出されたものは、黙って素早く全ていただく」




と表現した和尚様の言葉を思い出しました。





「全て」






という言葉の中には、食材だけでなく「想い」までもが入っているのだと感じます。





花びら餅をいただきながら「出されたものは、黙って素早く全ていただく」という言葉を思い出したとき、一瞬一瞬を大切にして全てを自分の中にいただくことができる人間になれるよう努力をしていかなくてはならないと感じました。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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