苦を滅する8つの正しい実践 八正道【はっしょうどう】 その1 正見

お釈迦様は苦を滅し、理想を実現するためには、8つの正しい道を修行することが大切であると説かれました。
これを八正道【はっしょうどう】と言います。

8つの正しい道の1つが正見【しょうけん】です。
これは、正しく物事を見ることを言います。
「私は視力が2.0だから正しく見えるよ!」
ということではありません。
身体的な目の視力ではなく、
心の目の視力が良くなくてはいけないのです。
心のくもり具合によって、心の視力は大きく変わります。
目の視力検査をしようとしたときに、視力検査をする会場に霧が発生してしまったら検査結果は良くなるはずがありません。
メガネをしている人のレンズが汚れていても検査結果は良くなりません。
同じように心が、こだわりや思い込みによってくもってしまえば、心の視力は落ちてしまいます。
小さな子供が、1人でお使いにやってきたものの支払いに戸惑っている姿を見たときに
「がんばってお使いをしているんだな」と心静かに見守る人もいれば、
「じゃまだな、とっとと会計を済ませてくれよ」と冷たい目で見てしまう人もいます。
同じ姿を見ているのに、素直に受け止めることができるときと、自分の都合や、これまでの経験から得てしまったこだわりを持ったまま見ることによって素直に物事を見ることができないときがあるものです。
メガネをかけるなど視力を良くする方法を知識として理解しただけでは視力は回復できません。
メガネをかけたり、コンタクトレンズを使用したり、または回復するための実践をしないと視力が良くなることはありません。
同じように心の目を良くしようとしたとき必要なのは心のくもりをなくすことです。
そのためには様々な実践方法があります。
禅宗では、心のくもりを取り除く方法の1つが坐禅だと考えます。
正しく物事を見るための実践に坐禅があるのです。
しかし、知識として「坐禅が良い」と理解しても実践をしなくては心のくもりが無くなることはありません。
やはり、心を調える実践こそが物事を正しく見るために必要なことなのです。
- 関連記事
-
- 苦を滅する8つの正しい実践 八正道【はっしょうどう】 その3 正語 (2016/12/28)
- 苦を滅する8つの正しい実践 八正道【はっしょうどう】 その2 正思 (2016/12/26)
- 苦を滅する8つの正しい実践 八正道【はっしょうどう】 その1 正見 (2016/12/25)
- みかんの収穫体験とおかげさまの心 (2016/11/14)
- 子供に坐禅会で話したこと 第127番 (2016/09/13)