花を持って歩く子供に厳しい言葉をかける男性の心
寒くなってくると思い出す出来事があります。
ある寒い日のことでした。

おばあちゃんとお墓参りに来ていた3~4歳くらいの男の子がお供えする花を持ってトコトコと歩いていました。
両手に花を持ち、お手伝いできる喜びからから男の子はおばあちゃんから離れてどんどん進みます。
すると前を歩いていた男性にぶつかりそうになってしまいます。
すると男性は男の子に向かって
「ボウズ、あぶねぇじゃねえか」
と言ったのです。
大きな声でした。
当然男の子はびっくりして立ち尽くします。
少し離れた場所にいた私は
立ち尽くす子供に声をかけようと思ったとき、おばあちゃんが男性に笑顔で声をかけました。
「ありがとうございます」
私は驚きました。まだ幼い大切な孫に対して大きな声を出した相手にお礼をいうことができることに。
私は「ボウズ、あぶねぇじゃねえか」という言葉を聞いたときに、言葉の中に優しさを感じることができませんでした。むしろ小さな子供に対して汚い言葉を使っていると感じました。
しかし、おばあちゃんは男性の言葉の中に孫を思いやってくれる優しさを感じたのでしょう。だからこそお礼が言えたのです。
同じ言葉なのに
小さな子供は恐怖を感じ、
私は悪口に聞こえ、
おばあちゃんには孫を想ってくれる優しさに感じたのです。
仏教では人間の心を迷わせる原因に三毒【さんどく】があると言います。
三毒とは、3つの毒のことで、
貪【むさぼ】る心
怒る心
愚痴【ぐち】の心
です。
相手の言葉をどのように受け取るかも、自分の心が決めるのです。
孫を想うおばあちゃんの心だからこそ、言葉が汚くても男性が子供のことを想って話していることに気が付くことができたのです。
温かいはずの言葉を、額面通りに「汚い言葉」だと感じていること、自分の心に三毒が支配されていることに、おばあちゃんの笑顔が気付かせてくれたことを今でも忘れることができません。
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