30秒診断と焼香の関係

私は小さい頃から病院が苦手でした。
マスクをした表情を読み取ることができない先生が注射をする。
これが幼い頃の私が持っていた病院の印象です。
ですから、大学へ通うようになって以降あまり好んで病院へ行こうとせず
「寝れば治る」
を合言葉に20代後半までは過ごしてきました。
しかし、20代後半になると体がいうことをきかなくなり、とうとう入院するまで病気が悪化することもありました。
一度大きな病気をしてからは、経過観察のために3ヶ月に1度は病院通いとなりました。
経過観察ですので、いわゆる「30秒診断」です。
・病院へ行き、血液検査をします。
・検査結果が出て順番が来るまで待ちます。
・1時間から1時間30分ほどすると名前を呼ばれます。
お医者様「こんにちは」
私「こんにちは」
お医者様「どうですか調子は?」
私「特に変化なく元気にやています!」
お医者様「そうですか、それはよかった。血液検査の数値も問題ないですね。このままいきましょう!」
これで終わりです。
30秒診断です。
個人的にはこの30秒診断がとても有り難く感じています。
30秒診断を嫌がり、「もっと親身になって!」「こっちを向いて話をしてほしい!」
と訴える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私にとっては30秒診断が心地よいのです。
理由は2つあります。
ひとつは入院したときの経験です。病気がなかなか良くならず、先生は何度も時間をかけて治療について説明をしてくださいました。
このまま、改善されなかったらこの治療法。それでも良くならなかったらこの治療法‥‥
説明が長くなればなるほど辛い未来を想像しなくてはなりませんでした。しかし快方に向かうと説明等は短くなりました。つまり、私にとって先生との会話が短いことは良くなっていることを表していたので、それ以来30秒診断は苦痛ではなくなりました。
そして、もう一つの理由が「御焼香」です。

僧侶になったときに 短時間で効率よく焼香をする方法と理由を知りました。
僧侶は唱えるお経の長さと焼香に進む人数を考えて焼香の方法を変化しています。
短いお経で多くの人が焼香をする場合
1.焼香台に並ぶ
2.並んでいる間にお香の準備
3.自分の順番になったら素早くお香を入れる
4.素早く移動
5.周囲に人がいない場所まで来たらゆっくりと手を合わせて礼拝
このような動きをします。
焼香をしたらその場で礼拝(手を合わせて頭を下げる)をするものだと思っていた私は「(4)の素早く移動」に大変驚きました。しかし、素早く移動するのは
「次の人のことを考えて場所を譲る」という意味があることをしり納得すると同時に、焼香の仕方にまで相手を思いやる気持ちがあることに感動をしたことを覚えています。
※この方法はけっして手を抜いてお参りをしていわけではありません。(5)正面ではありませんがしっかりとお参りをしています。
「自分が場所を譲ることで次の人が焼香をすることができる。」このような行動は、お金や物がなくても行うことができる無財の七施の中のにある、席や場所を譲る床座施【しょうざせ】にもなります。
このような考え方があることを知ってから30秒で自分の診断が終われば次の人が速く見てもらえる。
床座施をさせていただくことができた。
と考えることができるようになった気がします。
見方を変えると、見え方が変わる。見え方が変わると心が変わる。
30秒診断が有り難いと感じるようになった変わった人間の独り言でした・・・