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写経会のときに どんな話しをしているの? その40

 東光寺(静岡市清水区横砂)で行われている写経会で、副住職(新米和尚)の法話と配布させていただいている絵葉書を紹介させていただきます。


※なぜ、絵葉書と法話(仏教のお話)が登場するのかはこちらをご覧ください。

※写経会の御案内はこちらをご覧ください。



 今回は第40回目です。 




絵葉書 涅槃




涅槃【ねはん】

 
一般的にも良く使われる言葉に涅槃【ねはん】という言葉があります。



涅槃と聞くと 「死」や「お釈迦様の死」を連想される方が多いと思います。



私も以前はそのように思っていました。



しかし涅槃は


煩悩(ぼんのう)の火が吹き消された状態の安らぎの境地


を意味する言葉です。




真っ暗な部屋に一本だけロウソクがある。



このロウソクを吹き消すとどうなるのでしょうか。



部屋は真っ暗になります。



それは暗闇と言う恐怖の世界を表しているのでしょうか?



涅槃はやはり、死という暗闇を表す言葉なのでしょうか。



もちろん、涅槃は決して恐怖や暗闇を表す言葉ではありません。



私は、少し変わった考え方をしてみました。



ロウソクを吹き消し、真っ暗な部屋。



これは、幸せで安らぎの世界への入り口だと思います。



え?? 何を言っているのか解らない?



そうだと思います。 



では、考え方を変えてみましょう。



真っ暗な部屋にあるロウソクを子供は吹き消すことができるでしょうか。



多くの子供は怖くて消すことはできないと思います。



しかし、ほとんどの子供が喜んで消すことができる状況もあります。



それは、誕生日ケーキのロウソクを吹き消すときです。



なぜ、怖くないのか。



ロウソクを消した後、誰かが電気をつけ、笑顔で迎えてくれるからです。



消した後、幸せで安らぎの世界があることを知っているからこそロウソクを消すことができるのです。



しかし、私達はいつのまに火を消した先の暗闇にしか目が行かなくなっているのではないでしょうか。そのために、欲望の火を消す
ことに 言い知れぬ怖さを感じてしまっている気がします。



火を消して暗闇が襲ってきても、その先に必ず安らぎがある。



私達はこのことを知る必要があるはずです。



だからこそ、法句経の203





飢えは上なきの病(やまい)


この身には


最上のくるしみあり


このことわりを


あるがままに知らば


そこに


こよなきたのしみ


涅槃あるべし






と、あるのではないでしょうか。




そして、このことを体感する方法の1つが写経なのです。




姿勢と呼吸をを調えて写経をすることで心が調います。



私は、この「調った心」があれば静まり返った静寂の先にこそ、心安らかな世界があることを体感できるのだと信じています。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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