1人で生きている人間はいない!

「手に手をとって共に行く」ことを意味する
把手共行【はしゅきょうこう】
という禅語について考えていたときに
八幡暁さんという冒険家の言葉を思い出しました。
八幡氏は世界の海を1人乗りのシーカヤックという小さな船で旅をする冒険家であり、旅の途中で自然の中で暮らす現地の人と共に生活もしています。
小さな船での移動や、慣れない土地での生活を続けるのですから、旅は危険であり過酷です。死と隣り合わせの旅を続け多くの困難を乗り越えながら旅をされているのです。
そんな危険な旅をする八幡氏は
「旅の中で何を感じたか?」
という質問に対して
自然と共に生きている地域では1人暮らしをしている人はいない。
必ず共存をしている。
それは、1人では生きていけないからである。
「自然への感謝」という言葉は謙虚な人が言うのではなく、みんなが謙虚になっている。
地球と生きている人はみんなそうしている。
と答えていました。
把手共行は
辛いこと、楽しいこと、苦しいこと、様々なできごとを忘れるのでもなく、受け入れ、苦しみや悲しみなど様々な感情とひとつになることを把手【はしゅ】と考え、
人生を歩んでいくことを共行【きょうこう】と考え、
実際に手をつなぐことができるのか、できないのか、生きているのか亡くなっているのかなど区別することなく、全てがひとつになり、今この世界を生きていくこと表した言葉です。
八幡氏の言う
自然と共に生きている地域では1人暮らしをしている人はいない。必ず共存をしている。
という言葉が、自然から離れて一見便利そうな暮らしをしようとしている私達に何かを問いかけている気がします。
周囲の人や自然だけでなく、自分自身とも「ひとつ」になって生きていく、把手共行という生き方が、自然と共に生きていくことが難しくなってきた現代の私達に必要なのだと感じました。
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