写経会のときに どんな話しをしているの? その35
東光寺(静岡市清水区横砂)で行われている写経会で、副住職(新米和尚)の法話と配布させていただいている絵葉書を紹介させていただきます。
※なぜ、絵葉書と法話(仏教のお話)が登場するのかはこちらをご覧ください。
※写経会の御案内はこちらをご覧ください。
今回は第35回目です。
上求菩提下化衆生
【じょうぐぼだい げけしゅじょう】

今、世間では、これまで以上に写経や坐禅などが受けいれられるようになってまいりました。大変に有難いことだと感じています。日々時間に追われる現在の生活において心が乱れてしまい、乱れた心を調えることの必要性を感じている方が多くいらっしゃることが、坐禅や写経が受け入れられていることと大きく関係していると思います。
本日は「上求菩提下化衆生」という言葉について話をさせていただきます。この言葉は
上に向かっては修行によって自ら悟りを求め、下に向かっては生きとし生きるものである衆生を強化する
という意味です。
ひたすらに修行を続けながらも人々を救っていこうと誓う言葉であるのです。
上求菩提下化衆生との言葉にふれたとき、思い出したことがあります。
それは、西国33観音霊場を巡ったときのことです。
西国33観音霊場は日本最古の霊場巡りとも言われ、現在でも多くの方が巡礼をされています。
多くの方がお参りに来ますので、参道だけでなく周辺が整備された大きな参拝しやすいお寺も多くあります。しかし、日本最古の巡礼地と言われるだけあり、山奥のお寺、船でしか行けないお寺などもあります。
私は自分の車で各お寺を巡ったのですが、中には駐車場が山の下にあり、本堂は山の頂上にあるお寺がありました。
当然山頂まで歩かなくてはいけません。
その日は暑くも寒くも無い過ごしやすい気温でしたし天気も良く山登りには最適な日でした。
しかし、それでも片道1時間程の山道はかなり疲れます。
後半は昔ながらの急な石段が続きます。思わず手すりをつかみながら、「どっこいしょ」と声を出しながら登りました。
山頂で御本尊様をお参りさせていただいていると、お寺の方に声をかけられ少し話しをすることができました。
お寺の歴史や現在の状況など話しをしている中で、山を登る際に私が使った手すりの話しになりました。
あの手すりは1人の女性が寄進をされたそうです。その女性は大変熱心にこのお寺にお参りに来る方で、いつも息を切らしながら山道を歩いていたそうです。そんなある日、女性から
「ここの階段を登るのには大変だ。大変だから手すりがあった方がいい!私に手すりをつけさせて下さい。」
と申し出があったそうです。
そして、この女性の手によって とうとうお参りをする方の助けとなる手すりが取り付けられてそうです。
女性は自分自身が取り付けた手すりを使い、その後もお参りを続けたそうです。
そして、今では多くの参拝者が自然と手を伸ばし手すりを使って山頂の本堂までお参りに見えるようになったのです。
女性の菩提心とも表現できるような素晴らしい心が、いつまでもお参りをしたいと願う上求菩提、
自分以外にもお参りをされる方の為にと願う下化衆生の両方をかなえたのではないでしょうか。
お寺の方と話をしながら、自分が同じ立場となったときに同様の行動がとれるだろうか・・・
きっと私だったら山を登って大変な想いをしたときに、
まったく、手すりぐらいつけてくれよ とお寺に依存してしまったり、
誰かが山道を整備して車で行けるようにしてくれないかな と、
他人に依存してしまい、自分が何か行動を起こそうとすることができたとは思えません。
山の頂上から壮大で美しい光景を見ながら、自分の修行不足、調ていない心を感じて恥ずかしい気持ちになったと同時にその女性に引かれて自分は山を登らせていただいていたのだと感じたことを思い出します。
手摺をつけた女性の話しをさせていただきましたが、決して皆様に山へ行って手摺を付けてくださいと言っているわけでも、その位大きなことをしなければ上求菩提下化衆生とは言えませんと言いたいのでもありません。
皆様が、実践されている上求菩提下化衆生、それが本日の写経会であります。
写経会に参加することは心が調った姿を周囲の方々に示すことにつながってくるのです。
それこそが「下化衆生」の実践でもあります。
坐禅会も同じです。坐禅・写経だけではありまえん。読経・御先祖様への日々お参り、日々の行いを反省する布薩など心を調える修行は様々あります。
そして、様々な仏事を実践することで自分自身の心を調えることができたときに、周囲の全てのものが尊い存在だと実感し、普段はなかなか見出すことができない自分自身の「菩提心」をも実感することができるのではないでしょうか。
この実践の場であるお寺に足を運んでいただき心を調えるための様々な実践を重ね、菩提心に気が付き「上求菩提下化衆生」を意識してみてはいかがでしょうか。
※なぜ、絵葉書と法話(仏教のお話)が登場するのかはこちらをご覧ください。
※写経会の御案内はこちらをご覧ください。
今回は第35回目です。
上求菩提下化衆生
【じょうぐぼだい げけしゅじょう】

今、世間では、これまで以上に写経や坐禅などが受けいれられるようになってまいりました。大変に有難いことだと感じています。日々時間に追われる現在の生活において心が乱れてしまい、乱れた心を調えることの必要性を感じている方が多くいらっしゃることが、坐禅や写経が受け入れられていることと大きく関係していると思います。
本日は「上求菩提下化衆生」という言葉について話をさせていただきます。この言葉は
上に向かっては修行によって自ら悟りを求め、下に向かっては生きとし生きるものである衆生を強化する
という意味です。
ひたすらに修行を続けながらも人々を救っていこうと誓う言葉であるのです。
上求菩提下化衆生との言葉にふれたとき、思い出したことがあります。
それは、西国33観音霊場を巡ったときのことです。
西国33観音霊場は日本最古の霊場巡りとも言われ、現在でも多くの方が巡礼をされています。
多くの方がお参りに来ますので、参道だけでなく周辺が整備された大きな参拝しやすいお寺も多くあります。しかし、日本最古の巡礼地と言われるだけあり、山奥のお寺、船でしか行けないお寺などもあります。
私は自分の車で各お寺を巡ったのですが、中には駐車場が山の下にあり、本堂は山の頂上にあるお寺がありました。
当然山頂まで歩かなくてはいけません。
その日は暑くも寒くも無い過ごしやすい気温でしたし天気も良く山登りには最適な日でした。
しかし、それでも片道1時間程の山道はかなり疲れます。
後半は昔ながらの急な石段が続きます。思わず手すりをつかみながら、「どっこいしょ」と声を出しながら登りました。
山頂で御本尊様をお参りさせていただいていると、お寺の方に声をかけられ少し話しをすることができました。
お寺の歴史や現在の状況など話しをしている中で、山を登る際に私が使った手すりの話しになりました。
あの手すりは1人の女性が寄進をされたそうです。その女性は大変熱心にこのお寺にお参りに来る方で、いつも息を切らしながら山道を歩いていたそうです。そんなある日、女性から
「ここの階段を登るのには大変だ。大変だから手すりがあった方がいい!私に手すりをつけさせて下さい。」
と申し出があったそうです。
そして、この女性の手によって とうとうお参りをする方の助けとなる手すりが取り付けられてそうです。
女性は自分自身が取り付けた手すりを使い、その後もお参りを続けたそうです。
そして、今では多くの参拝者が自然と手を伸ばし手すりを使って山頂の本堂までお参りに見えるようになったのです。
女性の菩提心とも表現できるような素晴らしい心が、いつまでもお参りをしたいと願う上求菩提、
自分以外にもお参りをされる方の為にと願う下化衆生の両方をかなえたのではないでしょうか。
お寺の方と話をしながら、自分が同じ立場となったときに同様の行動がとれるだろうか・・・
きっと私だったら山を登って大変な想いをしたときに、
まったく、手すりぐらいつけてくれよ とお寺に依存してしまったり、
誰かが山道を整備して車で行けるようにしてくれないかな と、
他人に依存してしまい、自分が何か行動を起こそうとすることができたとは思えません。
山の頂上から壮大で美しい光景を見ながら、自分の修行不足、調ていない心を感じて恥ずかしい気持ちになったと同時にその女性に引かれて自分は山を登らせていただいていたのだと感じたことを思い出します。
手摺をつけた女性の話しをさせていただきましたが、決して皆様に山へ行って手摺を付けてくださいと言っているわけでも、その位大きなことをしなければ上求菩提下化衆生とは言えませんと言いたいのでもありません。
皆様が、実践されている上求菩提下化衆生、それが本日の写経会であります。
写経会に参加することは心が調った姿を周囲の方々に示すことにつながってくるのです。
それこそが「下化衆生」の実践でもあります。
坐禅会も同じです。坐禅・写経だけではありまえん。読経・御先祖様への日々お参り、日々の行いを反省する布薩など心を調える修行は様々あります。
そして、様々な仏事を実践することで自分自身の心を調えることができたときに、周囲の全てのものが尊い存在だと実感し、普段はなかなか見出すことができない自分自身の「菩提心」をも実感することができるのではないでしょうか。
この実践の場であるお寺に足を運んでいただき心を調えるための様々な実践を重ね、菩提心に気が付き「上求菩提下化衆生」を意識してみてはいかがでしょうか。
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