鏡餅【かがみもち】を供えるときの心
東光寺(静岡市清水区横砂)には、年末に御餅やお米を持って御参りにみえる檀家様が多くいらっしゃいます。
御餅は 「切り餅」 や 「のしもち」 ではなく 「鏡餅【かがみもち】」 です。
鏡餅はお寺の位牌堂にある御先祖様のお位牌の前に御供えするための御餅です。

昨年末、毎年鏡餅を御供えする女性が「もち米」をもってお参りにみえました。
女性は
「ごめんなさいね、今年はお餅が上手くできなかったのよ~。だから御餅の元を持ってきたの・・・」
と、もち米を私に手渡してくださいました。さらに
「孫(小学生)と一緒に御餅をついて鏡餅にしようとしたんだけど、孫たちが遊んじゃって変な形になっちゃたのよ。」
と続けます。私は
「そんな、形は気になさらず御供えしてください。」
と言うと、女性は
「いつも仏さんに御供えするのは一番初めの餅って決めてるの。だから、それをぐちゃぐちゃにされると困っちゃうのよね・・・・仏さんに2番目の御餅を私はお供えできない。」
と答えました。
仏教の大切な修行(普段の生活で実践すること)に 「布施【ふせ】」 というものがあります。
布施とは「自分の持っている財物その他を施し与えることです。」
布施の「施」という字は「施し【ほどこし】」という意味があります。
施しとは「恵み与えること」と言う意味で、「親が子供を大切にしかわいがるような、見返りを求めない深い愛情」とも説明されています。
つまり、「布施」とは見返りを求めず、深い愛情を持って、施しをさせていただく事をいうのです。
女性は御先祖様を想えば、できるだけ良いものを御供えしたいと考え 「一番の御餅」 を御供えしてきたのでしょう。
今年は「御餅」は御供えすることができませんでしたが、御先祖様を想う「見返りを求めない気持ち」はしっかりと伝わっていると思います。
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