昔話シリーズ 猿蟹合戦 【8.猿をこらしめ、猿を許す】

昔話シリーズ 猿蟹合戦 【8.猿をこらしめ、猿を許す】
この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。
皆さんご存じの通り、猿蟹合戦【さるかにがっせん】のお話は
1.猿が蟹の持っていたおにぎりを柿の種と交換
2.蟹は柿の種を植えて育てる
3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・
4.栗の登場
5.蜂の登場
6.昆布の登場
7.臼の登場
8.猿をこらしめ、猿を許す
となっています。
この猿蟹合戦の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。
今回は 「8.猿をこらしめ、猿を許す」 という場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。
皆さんは、猿蟹合戦の結末をどのように覚えているでしょか?
今回、いくつかの猿蟹合戦の本を読んだときに結末が1つではないことに気がつきました。
1つが、臼が猿の上に落っこちて重みで猿を殺す結末。
もう1つが、臼が猿の上に乗っかることで猿が動けなくなったところに子供の蟹が出てきて猿の首を切り落とす結末。
さらに、もう1つ、猿を懲らしめるが最終的には許すという結末です。
特に最近の絵本などでは、許す結末が多いように感じます。
これに対して
「最近の昔話は軟弱になった。懲らしめるなら徹底的に懲らしめるべきだ!」
という人がいます。
しかし、私は「許す結末」は大切なことを教えてくれているように感じます。
仏教の大切な言葉に
怨み【うらみ】は怨みによって果たされず
という言葉があります。
恨んではいけない、恨んでも恨んでも自分自身の心は休まらない、恨みの心をなくすためには、許す心が必要だ。
という意味です。
仏教では、やり返したり復讐をするのではなく、許すことの大切さを説き続けています。
しかし、「許す」といってもなかなかできることではありません。
ついつい嫌なことを言われれば言い返したくなってしまいます。
そんな時は、猿蟹合戦に代表されるように許すことの大切さを教えてくれる昔話を思い出してください。
非常に長い年月がかかりましたが、話の内容が変わっています。
同じように、私達も時間がかかるかもしれませんが、相手を恨むのではなく、許す心で生活をしていきたいと思います。
