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大般若会 【だいはんにゃえ】 令和2年

 東光寺(静岡市清水区横砂) では毎年 1月7日 は 大般若 【だいはんにゃ】です。




大般若とは大般若転読祈祷会【だいはんにゃ てんどく きとうえ】の略称です。
※大般若会について詳しくはこちらをご覧ください。




 この法要は1300年以上続くもので、六百巻にもなる「大般若経」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式です。




 
今年も無事に大般若を終えることができました。
当日の様子を写真と共にご紹介します。


 10時より法話

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 宝泰寺御住職様に御法話をしていただきました。熱のこもったお話しで檀信徒の皆様も聞き入りました。




 そして、11時より法要です。

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法鼓【ほっく】と呼ばれる太鼓が打ち鳴らされる中、和尚様方が本堂へ入堂されます。





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そして、和尚様方だけでなく参列してくださる皆様で般若心経を3回お唱えします。




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その後、転読【てんどく】を行います。





 転読とは特殊なお経の読み方です。



 最初にお経の巻数と漢訳をした玄奘三蔵法師のお名前を読み上げます。


 その後は経典を左右に3回ずつ前に1回、計7回パラパラとめくり、





 「降伏一切大魔最勝成就」(ごうぶくいっさいだいまさいしょうじょうじゅ)





 と大きな声で唱えます。この「降伏一切大魔最勝成就」は 一切の悪い心を取り除き、清浄な人間として完成することを誓い、祈る言葉です。






 とても迫力があり、1年の始まりを肌で感じることができる瞬間です!





転読後、様々なお経をお唱えし、最後に御詠歌をお唱えします。

 毎年、法要に出頭してくださった多くの和尚様方、そして檀信徒の皆様方とこの時間を共有できることの有難さを感じています。

一切の悪い心を取り除き、清浄な人間として完成できるように今年1年を過ごしていきたいと思います。





「降伏一切大魔最勝成就」

幸福になるために降伏する

ある法話会で


「仏教には幸福という言葉はありません。」


と和尚様が話されていました。






もちろん、仏教では幸福になれないということではありません。




仏教語辞典を調べてみると「こうふく」の欄には「降伏」と「興福寺」しか出てきません。



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降伏は「ごうぶく」とも読み、法力によって邪悪な対象を屈伏させること、抑えしずめることを意味しています。




六百巻にもなる「大般若経」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式、大般若でも




「降伏一切大魔最勝成就」(ごうぶくいっさいだいまさいしょうじょうじゅ)




と大きな声で唱えます。




一切の悪い心を取り除き、清浄な人間として完成することを誓い、祈る言葉です。






悪い心はどこにあるのかといえば、残念ながら自分の中にあります。





そう考えると、自分の中にある悪い心を抑えしずめる「降伏」をすると「幸福」になれるような気がします。




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大般若シリーズ【12】 大般若では何を願っているの?? ~回向編 その3~

500富士山180203

先日、「YOUは何しに日本へ?」という番組を見ました。


空港で訪日外国人に声をかけて、日本にやって来た目的を訪ね、その後密着をするという番組です。


この番組で紹介されていた1人の女性の訪日理由が大変興味深い物でした。


アメリカからやって来た女性は日本の大学に短期留学でやってきました。


番組が密着をしたのは富士山と樹海を訪ねた日でした。


女性が日本にやって来たのは「日本人は生と死を分けない考えを持っている」ということを知って日本に興味を持ちやってきたのです。


そして、富士山を見に行くとき神主が行う宿泊施設である御師の家【おしのいえ】に宿泊をしました。


ここで女性は自分の体験を神主さんに話します。


女性は祖母に育てられたこと。

大好きだった祖母は自分が20歳の時に亡くなったこと。

そして、祖母が亡くなったが近くで見守ってくれている気持ちになったこと。

しかし、友人に話すと気味が悪いと言われたことを話したのです。

アメリカでは生と死を分けて考える。死んだ人がいたらゴーストとして恐れるそうです。



神主さんは女性の話しを聞いて、祖母が亡くなったが近くで見守ってくれている気持ちなったことに疑問を感じることなく共感をしました。その姿に女性は感動したのです。





亡くなった人に見守られている。という感覚は日本では誰に教えられるということなく、様々な習慣を体験することで自然と身に付いてくる感覚だと思います。


この感覚を求めて日本にやってくる人がいることを知って、改めて大切な習慣をいただいていることを実感いたしました。





東光寺(静岡市清水区横砂)では、毎月1月7日に大般若祈祷会が行われます。お寺関係者の間では大般若【だいはんにゃ】と呼ばれている行事です。
 この法要は1300年以上続くもので、六百巻にもなる「大般若経【だいはんにゃきょう】」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式です。

※過去の開催報告では写真も使って方法全体の流れを説明していますので、興味のある方はご覧ください。



以前、大般若祈祷会でお唱えする回向について紹介をさせていただきました。
※大般若では何を願っているの?? ~回向編 その1~ はこちらをご覧ください。
※大般若では何を願っているの?? ~回向編 その2~ はこちらをご覧ください。



回向【えこう】とは法要の功徳(善い行い)が自分の為だけではなく、全ての人達の為になりますようにと最後に祈るものです。



この大般若祈祷会に参加したことがある方の中には回向が他の法要比べると長く感じる人もいるかもしれません。


長く感じない場合は、いつもより早口に感じるかもしれません。


それは、他の法要に比べると「ある部分が丁寧」だからです。


ある部分とは法要を見守ってくださる仏様・神様のお名前です。


大般若祈祷会の回向では法要を見守ってくださるありとあらゆる仏様・神様のお名前をお唱えするのです。



そのため、いつも通りの速さでお唱えすれば時間は長くなり、いつも通りの時間に納めようとすると自然と早口になってしまうのです。



500回向練習中

未熟者の私は途中で噛んでしまうのではないかと不安になり、直前まで練習をしています。

その姿が面白いのが今年はカメラマンの娘が写真を撮っていました。

・・・私は気がついていませんでしたが・・・





「そんなに長いなら、みんなまとめてしまえばいいのではないか?」と感じるかもしれません。



しかし、私は丁寧に多くの仏様・神様の名前をお唱えすることには大きな意味があるように感じています。




臨済宗妙心寺派の生活信条に


生かされている自分を感謝し、報恩の行を積みましょう


とあります。



大切なことなのについ忘れてしまうのが、私達は関係が濃い薄いに関係なくありとあらゆる周囲の方々に支えられ生かされているということです。



私は1年に1度、ありとあらゆる仏様・神様のお名前をお唱えすることで、自分自身が周囲の方々に支えられていることに思い起こし感謝する機会になっていると感じています。




大般若祈祷会でお参りをされる際には法要の最後にお唱えする回向の中でも後半部分の、ありとあらゆる仏様・神様のお名前に耳を傾ていただければと願っています。

大般若シリーズ【11】 大般若では何を願っているの?? ~回向編 その2~

携帯電話やスマートフォンをメモ用紙代わりに活用する前は、「手」がメモ用紙でした。




500手のメモ1
手のひらにメモをするとすぐに消えてしまうため役には立たず、




500手のメモ2

手の甲に書くと消えにくいため忘れることが少なくなった気がします。




東光寺(静岡市清水区横砂)では、毎月1月7日に大般若祈祷会が行われます。お寺関係者の間では大般若【だいはんにゃ】と呼ばれている行事です。
 この法要は1300年以上続くもので、六百巻にもなる「大般若経【だいはんにゃきょう】」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式です。


※過去の開催報告では写真も使って方法全体の流れを説明していますので、興味のある方はご覧ください。




以前、大般若祈祷会では


「全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る」と言うけれど、具体的にはどんなことを願っているの?」
と聞かれたとき、

私は「法要の功徳(善い行い)が自分の為だけではなく、全ての人達の為になりますようにと最後に祈る回向【えこう】」を紹介します。




という記事を書きました。
※大般若では何を願っているの?? ~回向編~ はこちらをご覧ください。




その中で

天下安全、戦争も起こらず、寺は静かに、皆心安らかに過ごし、火事や強盗なども無くなり、田園は豊かに稔り
檀信徒は仏教の教えを学び、様々な縁に恵まれ、全ての願いが叶うことを願っているのです。



と紹介をしましたが、実はこの言葉には続きがあります。




様々な法要に参列したことがある方で、回向を耳にしたことがある方は聞き覚えのある言葉かもしれませんが、




上は四恩に報い、
【かみは しおんに むくい】

下は三有を資け、
【しもは さんぬを たすけ】

法界の群生は同じく種智を円かにせんことを
【ほっかいの ぐんじょうは おなじく しゅちを まどかにせんことを】





と言う言葉です。




多くの回向の最後の部分に出てきますので、大般若祈祷会以外の法要でも聞いたことがあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。



上は父母・衆生・国王・三宝の四つのご恩に報いることができ、


下は欲界 ・ 色界・無色界という三つの世界に生きとし生ける全てのものを助けて、


全世界のあらゆる生きものが、皆等しく持っている仏様と同じ尊い心の種が円かに開けますように


と祈っているのです。




ですから、天下が安全で、戦争も起こらない、全ての願いが叶うことを願うのならば、



「私は、全てのものを助けることを誓い、これまでいただいた多くの恩に応える生き方をしていきます。」


といっているのです。



正直を言ってこのような生き方を常に実践できる人は多くはありません。



もちろん、私にはできません・・・



しかし、法要に参加したとき、その瞬間だけでも「全てのものを助け、恩に応える生き方をしていこう」と心に誓うことが大切なのだと思います。



スポーツ選手が目標を書いた紙を常に見えるとことに掲示することで、目標を意識し続けて結果を出すことは有名な話です。



勉強を必死にして目標の学校へ進学した人が「目標を見えるところに貼っておいたからこそがんばれた」という話もよく聞きます。



私は、何となく生活をしていると、どうしても「どのように生きていったら良いのか」を忘れてしまいます。



だからこそ、手を合わせてお参りをしたときに



上は四恩に報い、下は三有を資ける



という言葉を聞き、



全てのものを助け、恩に応える生き方をする



という生き方を思い出すことが有難いことだと感じています。

大般若シリーズ【10】 大般若では何を願っているの?? ~回向編~

「夢は語ると 夢は叶う」


という言葉を聞いたことがあります。


なぜ、夢を語ると夢が叶うのかと言いますと、


夢を語る

多くの人に語ることで、自分の意志が固まり具体的な目標になる。

目標に向けて具体的な課題設定がしやすくなる。

課題に取り組み、少しずつ課題を克服することで目標が達成され、夢が叶う。

といった流れだと聞いたことがあります。





東光寺(静岡市清水区横砂)では、毎月1月7日に大般若祈祷会が行われます。お寺関係者の間では大般若【だいはんにゃ】と呼ばれている行事です。
 この法要は1300年以上続くもので、六百巻にもなる「大般若経【だいはんにゃきょう】」という経典を読み、その功徳によって全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る儀式です。


※過去の開催報告では写真も使って方法全体の流れを説明していますので、興味のある方はご覧ください。


500大般若祈祷会回向



「全ての障害が取り除かれ仏道が成就することを祈る」と言うけれど、具体的にはどんなことを願っているの?



と聞かれたとき、私は「回向【えこう】」を紹介します。




回向とは、読経など様々な功徳(善い行い)が自分の為だけではなく、全ての人達の為になりますように祈ることで、大般若祈祷会では「祈祷回向」を唱えます。




この中に




天下安全、干戈起こらざらんことを
【てんかあんぜん、かんか おこらざらんことを】

山門の鎮静
【さんもんの ちんじょう】

中外咸安らかに
【ちゅうがいみなやすらかに】

火盗は潜に消え
【かとうは ひそやかに きえ】

諸荘の田園、意の如く豊かに稔り
【しょそうのでんえん、いのごとく ゆたかに みのり】

檀信は帰崇し
【だんしんは きすうし】

諸縁は吉利となり
【しょえんは きちりとなり】

一切の願望 皆悉円成し
【いっさいのがんぼう、すべてえんじょうし】





とあるのです。




つまり、



天下安全、戦争も起こらず、寺は静かに、皆心安らかに過ごし、火事や強盗なども無くなり、田園は豊かに稔り檀信徒は仏教の教えを学び、様々な縁に恵まれ、全ての願いが叶うことを願っているのです。




「もしも、こんなことが可能なら世界は平和になるかもしれない。でも実際にはこんなこと無理だ!」



と感じるかもしれません。



「夢物語だ!」



と言う方もいらっしゃるかもしれません。




しかし、願うことで



「今、自分達はどのような世界を目指すのか」ということがハッキリとするのではないでしょうか。



願いがハッキリとすれば、その願いを叶えるために知らず知らずのうちに自分たちの生活が変わってくることこそが、天下安全の第1歩となるのだと信じています。
人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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