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好き嫌いを離れた世界 【その2】


焼香をする姿に学ぶことがありました。




臨済宗では、僧侶を指導し導いてくださる和尚様を老師【ろうし】とお呼びしています。

先日、ある老師の焼香をする姿に大切なことを教えていただきました。




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焼香と聞くと

「法事や葬儀のときに火の中(炭)に木の粉をパラパラするやつ!」

と考える方が多いのではないでしょうか。

木の粉は正確には、その辺に生えている木を削ったものではなく、樹脂が長い年月をかけて形成、熟成されてできた 御香【おこう】と呼ばれるものを使います。






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お香には様々な種類があり、一般的に使われる粉のように細かくなったもの、





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粉よりも大きいもの、





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薄切りにされたもの


など多種多様です。






もちろん、お参りをするときに良い香りをお供えし、お参りをする空間や自分自身を清めるという意味は変わりません。





しかし、このお香・・・・

下世話な話ではありますが、種類も多種多様ですが、値段も多種多様です。

香り、色、大きさ、姿・・・様々な要素で値段が決まるそうです。



この御香を使って老師が焼香をする姿に私は学んだことがあったのです。




ある特別な法要の手伝いをさせていただいたときのことです。



その法要はとても大切な法要で、1年に1回や数年に1回といったように定期的に行う法要ではなく、本当に特別な法要でした。



ですから、主催する御住職が導師(法要の中心となる僧侶)をせず、特別に縁のある老師に来ていただき導師を務めていただいたのです。



そんな法要の準備を整えていると、そこのお寺の御住職が



「焼香する場所に、この御香を置いておいてくれ」



と封筒に入った御香を手渡したのです。普段、高級なものに縁がない私でも これはすごい!! と驚くような御香が入っていました。大きさは・・・ペットボトルのフタ!!



500御香1907203ペットボトルのフタ

残念ながら写真を撮れなかったので、本物のフタで御勘弁を・・・・





浅はかな私は、「この御香が焚かれたらどんな香りがするのだろうか!?」などと考えながら準備をしました。


思い出していただければ、法事や葬儀などの法要も同じですが、法要中に導師が焼香する場所も一般の方が焼香をする場所も同じです。

まずは法要の最初に導師が焼香をする。

その後、法要が進み 後半に一般の方や僧侶が焼香をします。

このときの法要も同じです。ですから私は、焼香をする場所には、一般の僧侶やお参りの方が使用する“細かい御香”の上に“ペットボトルのフタ”のような大きな御香を置きました。






このようにすれば、

導師が最初にペットボトルのフタのような御香を焚く。

→法要中、高価な御香の香りが!

→後半は皆様に焼香をしてもらう

→そのときは いつもの香りに・・・



となると考えたのです。


そして、いよいよ法要が始まりました!



導師の焼香です!!



私は密かに注目をしていました。




焼香をする場所に進む導師・・・


その瞬間、導師は手を袖の中に入れたのです!!


そう、私達僧侶は法要の際には御香を持参するという習慣があり、その御香を着物の袖の中に入れておきます。

「あぁ~、自分の御香を使うのか。ペットボトルのフタは使われないのか・・・」



など、どうしようもないことを考えている私・・・

すると、次の瞬間驚きの光景を目の当たりにしたのです!!






導師は、まず持参した御香を炭にのせます。煙がでます。

そして、すぐに御住職が用意をした、あのペットボトルのフタを手に取って炭の上に!!!

「お、煙が出始めるぞ!香りを楽しめるぞ!!」

などと どうしようもない私が考えるよりも早く 導師の手は動き続けます。



なんと、ペットボトルのフタの下にある普段用の細かい御香をガッサーっと手に取り炭の上に小さな山ができるほどにのせたのです!!!

ですから、持参の御香・ペットボトルのフタ・普段用の御香が同時に焚かれたのです!!

パンケーキの上においしいソースが塗られ、高級な果物がドンと乗って、その上にたっぷりすぎる生クリームがかけられたもの などと言ってはいけませんが、とにかく驚きました。




しかし、この焼香をする姿を見たときに大切なことを教えていただきました。




禅の言葉に

勿嫌底法 【嫌う底の法勿し:きらう ていの ほうなし】



という言葉があります。




すべてのものにおいて、嫌うべきものは全くない。

ものごとの真実の姿を見ようとするなら、好き嫌いや選り好みを捨て去ることが大切である、という臨済義玄の教えを表す言葉です。




どの御香が高級だとか、どの御香が良い香りをさせるか・・・

そんなことは関係ない。

大切なことは 今・この瞬間を大切にして その現場に向き合うことだ!

焼香をする場所に 持参した御香や別の種類の御香が用意されていたとしても、

どれを使うか悩むことはない、1つしか使ってはいけないなどの決まりもない。

用意したものを有難く、好き嫌いなく使う。

ただ、それだけなんだ!

そんな声が聞こえた気がしました。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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