保育園児の坐禅体験で食事五観文を唱える理由

 今日は毎月恒例の境内にある保育園の園児たちが坐禅(座禅)体験にやってきました。


坐禅体験 120911


 保育園児の坐禅体験では

・坐禅(10分×2回)
・お参り(1人ずつ焼香)
・茶礼(行事良くお茶とお菓子をいただきます。)
・和尚の話

このような流れが恒例になっています。さらに、年長組は茶礼の前に全員で食事五観文(しょくじごかんもん)をお唱えします。



 食事五観文とは、

一つには、功の多少を計り彼の来処を量るる
二つには、己が徳行の全けつを忖って供に応ず
三つには、心を防ぎ、過貧等を離るるを宗とす
四つには、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり
五つには、道業を成ぜんが為に、この食を受くべし


  一つ、すべてのものに感謝してこの食事をいただきます。
  二つ、自分の日々の行いを反省してこの食事をいただきます。
  三つ、欲張ったり残したりしないでこの食事をいただきます。
  四つ、身体と心の健康のためにこの食事をいただきます。
  五つ、みんなが幸せになるためにこの食事をいただきます。
     合掌、いただきます。(山陰西教区学徒研修会資料より)

といった禅の食事作法をまとめた5つの教えです。



 この食事五観文を唱えた後、合掌をし「いただきます!」と大きな声であいさつをしてお茶を飲んだり、お菓子を食べたりします。


 

 私がこの食事五観文を坐禅体験に取り入れたのは、以前中学校の教員をしていた頃の衝撃的な経験があるからです。

 私は公立中学校の教員に採用された年にある研修を受けました。新規採用された教員は1年目にたくさんの研修を受けますが、その中の一つの研修で信じられない課題を与えられたことがあります。



その課題とは

「給食を食べる前に、手を合わせずに挨拶をする方法を考えなさい。」

と言うものでした。つまり、昔から当たり前のように学校で行われてきた当番が前に出て

「手を合わせてください、いただきます!」

という挨拶を公立の学校ではさせてはいけないというのです。理由は宗教活動だからだそうです・・・



 あまりに衝撃的な課題でしたし、信じられなかったので考えるふりをしてその場をやり過ごしました。

 


 ありがたいことにその後この研修が役に立つことはありませんでした。なぜなら、私が担任したどのクラスの生徒も食事の前に手を合わせることが自然にできていたからです。

 当番の生徒は当然のように

「手を合わせてください・・・」

と挨拶を始めていました。小さい頃から家庭などで自然に身につけてきたのでしょうから、私はこの素晴らしい習慣を止める気はまったくありませんでした。



 しかし、一部の大人は「公教育の場では食事の前に手を合わせてはいけない!」と本気で考えていいるようなのです。





 このような経験があったので、私はお寺という「教育現場」では正しいと思えることを素直に子供達に伝えていきたいと考え、坐禅体験に来てくれる園児と一緒に食事五観文をお唱えしています。


 今後も、今の私にできる範囲で「当たり前」のことを「当たり前」に行える環境を作る活動をしていきたいと思います。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、30代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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