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子供に坐禅会で話したこと 第288番 アリの命 【仏教説話30】



子供坐禅会(平成29年冬休み:テーマは仏教説話)で話した内容を紹介させていただきます。今回は

仏教説話シリーズ その30 【アリの命】

です。



東光寺(静岡市清水区横砂)子供坐禅会では毎回お寺や仏教に関係する話しをしています。



そして、話の内容にあった「仏教豆知識シール」を参加者に配布しています。



自分自身の備忘録も兼ねて紹介させていただきたいと考えています・・・・



500第288番 アリの命 【仏教説話30】




お腹を空かせて困っている人に、おにぎりを1つあげる人と2つあげる人がいたとします。


どちらがすごいと思いますか。


普通に考えると2つあげる人がすごいということになります。


しかし、仏教では1つか2つかはあまり関係ありません。


おにぎりを100個持っている人が2つあげるよりも、おにぎりを1つしか持っていない人がその1つを誰かにあげることの方が尊いと考えるからです。

100個持っていれば100個あげる。


1つ持っていれば1つあげる。


今、自分にできることを精一杯することが大切だと仏教ではよく言われています。






仏教の物語の中に「アリの命」という話があります。







あるところに若い修行僧がいました。


修行僧は立派な和尚様のもとで修行をしています。


和尚様は立派な方で普段から修行僧に色々なことを厳しく教えてくれていました。


修行僧も指導してくださる和尚様の言うことを聞いて一生懸命修行をしていました。


この和尚様、実はすごい力があるのです。


どんな力があるのかといえば、もうすぐ死んでしまう人を見分けることができるのです。


あと1週間で死ぬ人が自分の目の前に来ると、


「この人はあと1週間で死んでしまう。」


ということが分かるそうです。


ある朝、和尚様が修行僧を見ると、なんと後1週間でこの修行僧が死んでしまうと分かったのです。


和尚様は修行僧に


「お前はあと一週間で残念ながら死ぬ。だからその前に実家に戻って両親へしっかりと挨拶をしてきなさい。2、3日はそちらで過ごして、またここに戻ってきなさい。」


と言ったのです。


修行僧は和尚様の言うことを聞いて最初は大変に驚きましたが、これまで和尚様があと1週間で死んでしまうと言った人はみんな本当に死んでしまったことをよく知っていたので、自分ももうすぐ死ぬのだと感じたのです。


そこで和尚様に言われた通り、実家へ戻って両親にお礼を言うことにしました。


実家は歩いて1日ほどかかる場所です。


実家に向かって歩いていると、ある場所でたくさんのアリが足元にいることに気がつきました。そしてそのアリが川から溢れた水が流れてきているのも見えました。


修行僧はそのアリたちを迷うことなく助けて安全な場所に移してから、実家に帰ったのです。


実家に帰り両親に「私はもうすぐ死んでしまう」ということを伝えた上で、これまで育ててくれたお礼などを言って2、3日実家でのんびりと過ごすことにしました。


両親も息子がもうすぐ死んでしまうということには大変驚きましたが、今こうして一緒にいられる時間を大切に過ごそうと親子で 有意義な時間を過ごしました。


やがて時間が経ち、修行僧は和尚様の元へ戻ることにしました。修行僧が和尚様のところへ戻ってくると和尚様は大変に驚きました。


なんと修行僧からもうすぐ死ぬ人の特徴がなくなっていたのです。


つまり修行僧はまだまだ元気に暮らしていけるようになっていたのです。


和尚様は驚いて修行僧にこの一週間どんなことがあったのか聞きました。


すると、修行僧は実家に戻る途中アリを助けた話をしました。和尚様はそれを聞いて


自分自身がもうすぐ死んでしまうかもしれないという時にたくさんの命を救ったことで、この修行僧は長くこれからも生きていけるようになったのだとわかったそうです。






このお話の大切な部分は、自分が苦しい時に周囲の苦しんでいる命を救ったということです。



自分が元気な時に周りを助けることはそこまで難しいことではありません。


しかし、本当に自分が苦しい時にこそ、自分にできることを精一杯やって行きなさいと「アリの命」という話は教えてくれています。




そして、なぜ自分がもうすぐ死ぬという時に苦しんでいたアリをこの修行僧は助けることができたのかといえば、それこそ普段の生活が和尚様の下での修行生活だったからなのです。


修行をしていたからこそ、正しいことを素直にすることができたのです。

普段からマラソンの練習をせず、だらだらと過ごしている人が急にマラソン大会に出たところで、まともに走ることはできません。しっかりと毎日練習している人がマラソン大会に出れば良い結果を出すことができるように、普段からの生活が大切だということもこのお話は教えてくれているのです。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、30代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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