閻魔大王の怒りと地獄の変化 【その1】

先日まで龍谷大学で行われていた「地獄絵ワンダーランド」の中でプレミアムナイト企画
地獄絵 絵解き×音解き×美解き ~今夜は地獄へ行かナイト~
が行われ、参加させていただく御縁に恵まれました。
そこで、で西山 克 氏(関西学院大学文学部教授)による地獄絵の絵解きを聞いたときに
「地獄は時代によって変化します。地獄絵もだんだんと種類が増えていきます」
とおっしゃっていたことが印象に残っています。
そんな、言葉を思い出いしながら仏教聖典を読んでいたら、閻魔大王はこのまま時代が進んでしまったら、ものすごく怒るような気がしてきました。
仏教聖典の中に次のような逸話があります。

人間世界において悪事をなし、死んで地獄に堕ちた罪人に、閻魔王が尋ねた。
閻魔王 「おまえは人間の世界にいたとき、三人の天使に会わなかったか。」
「大王よ、わたくしはそのような方には会いません。」
閻魔王「それでは、おまえは年老いて腰を曲げ、杖にすがって、よぼよぼしている人を見なかったか。」
「大王よ、そういう老人ならば、いくらでも見ました。」
閻魔王「おまえはその天使に会いながら、自分も老いゆくものであり、急いで善をなさなければならないと思わず、今日の報いを受けるようになった。」
閻魔王「おまえは病にかかり、ひとりで寝起きもできず、見るも哀れに、やつれはてた人を見なかったか。」
「大王よ、そういう病人ならいくらでも見ました。」
閻魔王「おまえは病人というその天使に会いながら、自分も病まなければならない者であることを思わず、あまりにもおろそかであったから、この地獄へくることになったのだ。」
閻魔王「次に、おまえは、おまえの周囲で死んだ人を見なかったか。」
「大王よ、死人ならば、わたくしはいくらでも見てまいりました。」
閻魔王「おまえは死を警め告げる天使に会いながら、死を思わず善をなすことを怠って、この報いを受けることになった。おまえ自身のしたことは、おまえ自身がその報いを受けなければならない。」
これが、もしもこのまま時代が進んで地獄でこのやり取りがされているとしたら
閻魔王「おまえは人間の世界にいたとき、三人の天使に会わなかったか。」
「大王よ、わたくしはそのような方には会いません。」
閻魔王「それでは、おまえは年老いて腰を曲げ、杖にすがって、よぼよぼしている人を見なかったか。」
「大王よ、そういう老人ならば、介護施設に任せたので見ていません。」
閻魔王「・・・」
閻魔王「おまえは病にかかり、ひとりで寝起きもできず、見るも哀れに、やつれはてた人を見なかったか。」
「大王よ、そういう病人なら病院に任せたので見ていません。」
閻魔王「・・・」
閻魔王「次に、おまえは、おまえの周囲で死んだ人を見なかったか。」
「大王よ、死人ならば、葬儀社に任せたので関わっていません。」
閻魔王「・・・、だめだこりゃ。」
となってしまっているかもしれません。
(話しが長くなってしまうので続きはまた次回とさせていただきます・・・)
※2話目は四門出遊【苦があるから悟りがある】
※3話目は山の竹が教えてくれる地獄と極楽
を予定しています。
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