手放すまでの時間



ある日、小学校低学年の孫を連れたお婆さんがお参りをしているところで見た光景が印象的でした。



500お参り170814
※写真はイメージです



お婆さんが孫に100円玉を渡して




「はい、これお賽銭に入れて」




と言うと、孫は




「うん、いいよ!」




と言って、渡された100円玉を賽銭箱に入れてお参りをしました。






微笑ましい光景だと感じると同時に、




「同じことが自分にできるのだろうか?」




とも感じました。





小学校低学年の子供にとって100円は大金です。




私が誰かに大金をもらってすぐに賽銭箱に入れるように言われたら、素直にできるのでしょうか?



もしもお金に困っていたら




「せっかくなら、この大金をいただいてしまいたい」




と考えてしまうかもしれません。



が、しかし 大金を受け取ってすぐに賽銭箱に入れるのならば、なんとかできるかもしれません。




しかし、時間がたつとしたらどうでしょう?




大金をあずかり、1年後に賽銭箱に入れてくれと頼まれたら




「せっかくなら、この大金をいただいてしまいたい」




との思いが強くなってしまうのかもしれません。




時間が経過すればするほど




預かっていた大金が「自分のもの」と思い込んでしまうかもしれません。




そして「自分のもの」と勘違いをしてしまえば手放すことはどんどん難しくなっていきます。






禅の言葉に



放下著【ほうげじゃく】



という言葉があり、放下は捨てることを表し




煩悩妄想だけでなく仏や悟りまでも捨て去りすべての執着を捨て去る




という意味があります。




 全てを捨て去さることの大切を今でも私達に伝えてくれる言葉です。





手に入れた(預かった)直後ならすぐに放下【ほうげ】できるのに、時間が経てば経つほど放下できなくなってくることを、素直に預かったお賽銭を賽銭箱に入れる子供に教えていただいた気がします。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、30代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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