石と緑

暑い夏のある日、訪れたお寺の玄関で御住職様に
「今年の夏も暑いね、でもこれだけ暑くてもこの緑は生き生きしているね!」
と声をかけていただきました。情けないことに、私は
「緑???」
と、どこの緑を言っているのか分からずボケっとしていると
「この石から出ている緑はすごいね、雨が降らないのに、どこにこんな力を蓄えているのだろうか。」
と言っていただいたので初めて石の上に木があることに気が付いたのです・・・

大きな石の上で、力強く命の輝きを示す緑を見て
「石」が禅語では
無の境地に徹した人
を指すことを思い出しました。
雨も降らず、暑い日が続くなかで、石の上で堂々と命の輝きを示す緑を見ることが出来て有り難いと感じると同時に、
自分自身も僧侶として「無の境地に徹しながらも命の輝きを見せることが出来るようにならなくてはいけない」と感じました。
かなり厳しく難しいことだと理解していますが、美しい石と緑の姿を見て今後も、こだわることなく努力を重ねていこうと誓うことが出来ました。