食事五観文(しょくじごかんもん) 3

ある日、法要が終わりお茶とお菓子を出していただいた時のお話です。出していただいたお茶を飲みましたが、帰宅時間の都合上お菓子を食べている時間はありませんでした。

そのようなとき、私は迷いなくお菓子をカバンに入れて持ち帰ります。
このようにお菓子を持ち帰る話をすると、
「手をつけていないなら、残してくればいいのに。」や、「そんなに食べたいか!?」と言われることがあります。
禅宗では食事の前に唱えられる食事五観文(しょくじごかんもん)というものがあり、その3番目の言葉が
三つには、心(しん)を防(ふせ)ぎ、過貧等(とがとんとう)を離(はな)るるを宗(しゅう)とす
です。現代的な言葉で表すと
心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪など三つの過ちを持たないことを誓います。
と表すことができます。もう少し分かりやすく意訳した山陰西教区学徒研修会資料を見ると
三つ、欲張ったり残したりしないでこの食事をいただきます。
と紹介しています。
禅宗の基本的な食事の決まり事として、「残さない」ということを大切にしています。
食事やお茶を出してくださった方の気持ちや、出されたものの「命」に誠実に向き合う意味でも、出していただいたものは全て食べるように心がけています。
食べきれない時もありますが、必ず持ち帰り後程いただくようにしています。
ですから、「手をつけていないなら、残してくればいいのに。」や、「そんなに食べたいか!?」と言う方にはしっかり説明させていただいていますし、お寺に来ていただいてお菓子を食べずに帰ろうとするお客様には必ず
「お菓子をお持ちになってください。」
と声を掛けさせていただいています。