葬式仏教から 仏教の未来を考える 【その2】 先祖を敬うのに 宗教を信じないのはなぜ?

葬式仏教から 仏教の未来を考える 【その2】
~先祖を敬うのに 宗教を信じないのはなぜ?~
※【その1】本来の葬儀とは何か はこちらをクリックするとご覧いただけます。
寺院デザイン代表取締役の薄井秀夫氏が複数の資料を提示してくださいました
資料1 日本人の宗教を信じる人の割合
宗教を信じる 26%
宗教を信じない 71%
※ただし、宗教を信じると答え人の多くは新興宗教やキリスト教を信じているため“仏教を信じている”と答える人はごくわずか
資料2 日本人で先祖を敬う心を持っていると答える人の割合
先祖を敬う心を持っている 約94%
先祖を敬う心を持っていない 約5%
この資料を見て、薄井氏は
“宗教”というと“なんだか怖い”というイメージを持っている人が多いため、信じるとは言い切れない。
しかし、“ご先祖様”には素直に手を合わせることができるのが日本で暮らす人々の感覚である。
日本で暮らす人々がこの心を忘れなければお葬式が無くなることはない。
葬式仏教と悪口を言う人もいますが、私はこの言葉は悪い言葉ではなく、僧侶を含めた宗教者こそが人々の一番の苦しみに対して手を差し伸べて救える存在だということ示した言葉だと考えている。仏教は求められており強い。
このように話してくださったように記憶しています。
この言葉を聞いて少しだけ安心すると共に、かなりの危険性を私は感じました。
ほとんど人が先祖を敬う心を持っているにも関わらず仏教とのつながりを持っていないという現実が、71%の人が「宗教を信じない」と答えたアンケート結果にあるのだと思います。
仏教は確かに強い。
仏教のことを学べば学ぶほどそのように感じます。
お葬式も亡くなった方を大切に想う気持ちが多く詰め込まれた素晴らしい儀式です。
しかし、そのことを伝えきれていないからこそ、「宗教を信じない 71%」という結果が出ているように感じます。そしてその結果が私に
「仏教の教えを伝える立場であるお前の姿は仏教者として恥ずかしくないのか!」
と訴えかけてきているように感じます。
先祖供養は大切にするのにお葬式をしないのは仏教の教えを伝える僧侶への信頼不足だとすれば仏教聖典の
衣を着ているから出家なのではなく
托鉢しているから出家なのではなく
経を誦んでいるから出家なのではなく
外形がただ出家であるのみ
ただそれだけのことである
形がととのっても、煩悩をなくすことはできない
赤子に衣を着けさせても出家とよぶことはできない。
心を正しく統一し、智慧を明らかにし、煩悩をなくして、ひたすらさとりに向かう出家本来の道を歩く者でなければ、まことの出家とはよばれない。
という一文を今一度見つめ直す必要があると感じます。